研究課題/領域番号 |
12410083
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 素二 京都大学, 文学研究科, 教授 (50173852)
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研究分担者 |
古川 彰 関西学院大学, 社会学部, 教授 (90199422)
嘉田 由紀子 京都精華大学, 人文学部, 教授 (70231256)
鳥越 皓之 筑波大学, 社会科学系, 教授 (80097873)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 河川流域 / 湖沼流域 / 環境保全 / 文化変容 / 環境問題 / 環境政策 |
研究概要 |
本研究の目的は第一に、地域社会が固有に築き上げてきた、森と河川を核とする地域環境の保全と改変のための思想と実践を、人類学的調査によって明らかにすることである。第二の目的は、その知見に基づいて、環境人類学的な理論モデルを構築し、それを行き詰まりつつある環境政策に反映するための基礎的データの収集に役立ていることである。そのため3年間にわたって、主に日本の河川流域、島嶼部、都市周辺などにおけるフィールドワークを中心として、これまでメンバーがアジア・アフリカなどで収集された資料(補足的に資料収集をおこなう)との比較検討をおこない次のような点を明らかにした。 本研究では、生活環境主義パラダイムの再構築をめざして、地域が蓄積してきた環境保全につながる明示化されない規範や緩やかであいまいな制度に注目して、その固有の論理と実践力を分析した。それは、はげしい社会変化のなかで、沈潜し変容されてはいるものの、十分に機能し生きている知恵でありシステムであった。もちろん、今日、こうしたシステムは、自律し独立したシステムとして作用するわけではない。国家や自治体、あるいは近代的な諸制度に包摂され、接合されながら自らの位置性を構築しているのである。この折衝、交渉、妥協、服従の過程を考察することを通して、地域の環境保全のシステムの社会・文化的意義を解明していくことは、本研究の大きな目的であった。具体的には、自治体などの行政政策との折衝のなかにおける生活者の自立性の研究、ダムや原発といった地域生活をはげしく分断する場面における生活者の視点とは何かを問う研究、そして、日本の農山村以外の地域共同体の実践における生活環境主義の可能性について着実なフィールドワークにもとづいて分析する研究などの領域で成果をあげることができた。
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