研究課題
本研究においては、研究テーマに関係する文献史料と考古資料のデータベース化を大きな柱に掲げているが、平成12年度は、文献史料のテキストデータベース作成の基礎作業として関係史料の画像ファイル化を進めるとともに、『儀式』『延喜式』等ではOCRソフトを使って電子データ化を試験的に行った。外字の処理の仕方や割注部分の認識など、今後、技術的に解決しなければならない問題もあるが、一応、電子データ化の作業の進め方について方向が定まったといえる。また考古資料に関しては、地方官衙関係のデータベースを作成するための基礎作業として、データベース構築の枠組みを検討するとともに、データ入力のための資料収集を行った。研究代表者である熊谷は、各時代の都城遺跡を巡見して基礎的なデータの蓄積につとめた。また現在、治天下大王の即位儀礼の検討を進めており、この段階の即位式は、全体として天つ神と大王の関係と、大王と群臣の関係を新たに構築しなおすという儀礼的意味をもっていて、連続的王統観が未確立である一方で、大王の代替わりのたびに君臣関係が更新されていた、という見通しをうるにいたっている。3月18日には、その成果の一部を日本史研究会3月例会のシンポジウムで「治天下大王の即位儀礼とその理念」と題して報告を行う予定である。なお、2月に研究会を開催し、原町市教育委員会の荒淑人氏らを招いて、福島県域の官衙遺跡の報告をうけ、討論を行った。
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