研究課題/領域番号 |
12410093
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
片岡 一忠 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (50092515)
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研究分担者 |
松本 浩一 筑波大学, 図書館情報, 教授 (00165888)
丸山 宏 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (00229626)
楠木 賢道 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (50234430)
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キーワード | 外藩 / 朝貢 / 冊封 / 档案 / 官印 / 道教 / 儀礼 |
研究概要 |
研究の最終年度にあたり、史料の整理と各自の研究のまとめ、そして研究全体の総括をおこなった。史料の整理は台北・北京の档案館の再調査をおこない、今後の利用に便ならしめるに十分な情報網を確立できた。個別研究については、楠木は分担研究の「清朝の外藩政策」について、入関前の太宗ホンタイジのモンゴル諸王に対する冊封を分析することによってその支配関係が形式的ではなくより実際的であることを明らかにした。このことは清朝時代に至って、中央政府による周辺諸民族への実質的な支配体制の構築が現在の多民族国家中国の基礎を形成するものであるとする、本研究の目的の一端を証明するものであるといえる。清朝とモンゴルの関係は片岡が精力的に収集に努めている清朝官印においても証明できる。すなわちモンゴル族に授与された官印が民国時代になっても、印文こそ満蒙合壁から漢蒙合壁に変わったが、清朝によって創造された支配民族とモンゴル族の文字を合壁するという形式を踏襲されている事実は、官印の授受というきわめて形式的な問題ではあるが、明・清朝によって確立された中央政府による諸民族支配体制・支配意識が民国政府にも継承されたことを物語っている。丸山は現在台湾で行われている道教儀礼文書と儀式の分析によって、それらが皇帝儀礼の投影したものであることを指摘する。また松本は宋朝の宗教政策を考察することで明・清両朝の宗教政策の前史を検討した。それぞれ考察対象の時代は異なるが、ともに本研究の明・清朝の政策を検討するための比較研究の事例である。研究成果報告書では、以上の個別研究をとりまとめ、併せて明・清両朝の「藩」政策の中国史上における位置づけをおこなう。
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