研究課題
今年度は、各研究分担者が、それぞれの担当領域にかんして入手した文献を読み、研究動向を検討し、その成果を分担者間での研究会で教合して、それぞれの研究の方向性を見定めた。今年度の研究会での検討のなかで、現在の欧米における教会と政治社会をめぐる研究の新しい状況が明らかにされたとともに、どのような史科群が今後の研究を展開させる上で有用かといった議論もなされた。とくに、ヨーロッパ中世といっても時代的に、初期中世と盛期、後期中世では、教会史をめぐる問題の立て方が大きく異なることが確認された。今後の本研究のあり方としては、初期中世およびビザンツ世界における教会と国家をめぐる問題と、イギリス・フランス・ドイツの中世盛期以降の教会と世俗権力との関係の問題を2つの柱として進めていくことが明らかになった。来年度には、各研究分担者が、それぞれ深めてきたテーマについて、一定の成果を発表していく段階に移行する予定である。なお、本年度には、本科研費を用いて、ドイツの中世史家ペーター・ネーラフ氏の講演と討論とを行うことができた。ドイツにおける中世史研究の現在状況について得ることが多かったので、来年度の研究にそれを役立てたいと思っている。
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