研究課題/領域番号 |
12410097
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
甚野 尚志 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90162825)
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研究分担者 |
堀越 宏一 東洋大学, 文学部, 助教授 (20255194)
土浪 博 関東学院大学, 法学部, 助教授 (20277924)
渡辺 節夫 青山学院大学, 文学部, 教授 (70036060)
大月 康弘 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (70223873)
河原 温 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (70186120)
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キーワード | 王権 / 中世ヨーロッパ / 教会 / フランス / ドイツ / ビザンツ |
研究概要 |
本年度は、これまでの研究の進展にもとづいて、教会と世俗権力の関係を総合的に考察する試みを行うとともに、各人が分担の問題について一定の見通しを報告した。 その過程で明らかになったことは、中世ヨーロッパ社会において、教会が多様なあり方で、多くの側面から世俗の政治社会と関係していたことである。たとえば、フランス中世の政治権力構造のなかで、教会が王権を保証する権力として、王権に対して大きな影響力をもっていたこと、さらにそうした王権と教会の関係は、フランスのみならず、ドイツやスペインの王権についてもいえることが確認された。さらには、都市においても、教会が救貧活動などにおいて社会福祉的な活動の一端を担っていたことが明らかになった。 また、ビザンツと西欧との比較の視点からは、ビザンツ社会では、貴族が所領を教会・修道院に寄進する行為において、西欧社会とは違った意味合いをもつことが強調された。 このような分担者それぞれが提示した、中世ヨーロッパにおける教会と社会の錯綜した関係のあり方は、これまでの我が国の中世教会史・政治史研究を深めていくものである。各人が提示した具体的な問題については、研究成果報告書のなかにまとめられているが、全体として、教会から現実の中世社会をみていくという視角が、これまでになく強調されたように思える。これまでの三年間の研究成果にもとづいて、今後、各分担者が、それぞれの研究対象とする地域やテーマにかんして、教会史の側面から分析した論文を発表していくつもりである。
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