近代化プロセスにおける家族と郷土の比較文化史

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12410099
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 若尾 祐司 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (70044857)
• 研究分担者: 和田 光弘 名古屋大学, 文学研究科, 助教授 (10220964) ; 鈴木 祥二 (羽賀 祥二) 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (30127120) ; 溝口 常俊 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50144100) ; 加藤 久美子 名古屋大学, 文学研究科, 助教授 (80252203)
• キーワード: 史跡 / 郷土 / 記念碑 / ドイツ地方史 / 地誌 / フィールド調査 / タイ / アメリカ独立革命・南北戦争

研究概要

共同研究の最終年度である本年度は、報告書の作成に向けて、各研究分担者のこれまでの研究成果を総括し、様々な場で相互の研究成果の検討や討論を通じて主題を一層深めるとともに、各自のテーマの持つ特殊性と共通性を種々の位相において析出し、共同研究・比較研究の真骨頂を発揮すべく尽力した。本学において定期的に研究集会を開催し、各自の研究の進捗状況を報告して互いの研究成果を摺り合わせただけでなく、広くわが国の学界状況における本テーマの位置を見定めるべく、各地の研究者との意見交換も精力的に行い、積極的に各地の研究会に足を運ぶことで、最先端の研究状況を反映させるとともに、他大学等に収蔵されている文献等も実際に赴いて調査・収集を行い、史資料の確保を完全なものとすべく各自鋭意努力した。各研究分担者個別の概要は次のごとくである。若尾は、郷土保護・遺蹟保存運動の形成プロセスとその特徴を解明するため、ドイツ地方史誌等、貴重な史料の分析を引き続き行い、自身のテーマをさらに深化させ、まとめるとともに、本共同研究のリーダーとして、各自の研究の総括を担当した。溝口は、国内の地理学研究者との活発な意見交換、綿密なフィールド調査の整理・解析を通じて、自身の研究を一層深化させた。鈴木(羽賀)は、地誌と図絵からわが国における歴史意識の生成過程とその特質を析出するため、収集した関連史料の解析を進めた。和田は、米国国会図書館、米国国立公文書館、ニューヨーク市立図書館等にて収集した史料の整理・分析を踏まえて、米国における郷土意識の展開過程を検討し、研究のまとめを行った。加藤は、英雄像の建立と祝賀運動に関してタイ国での精力的な現地調査によって得られた成果を分析した。最終的に上梓される報告書には、本共同研究で得られた成果が余すところなく開陳されるであろう。さらに共同研究の成果は、『記録と記憶の比較文化史』と題して、近く名古屋大学出版会より刊行される予定である。これらの書物により、学界への寄与は極めて大きいものと自負する次第である。

研究成果

• [文献書誌] 富田啓介, 溝口常俊: "愛知県半田市における溜池とその四囲の環境変化 1998-2002"愛知県史研究. 8(予定). (2004)
• [文献書誌] 羽賀(鈴木)祥二: "日本近代における『伝統』-内在する価値と力をめぐって"歴史評論. 647. 64-66 (2004)
• [文献書誌] 溝口常俊, 他: "農村空間の研究(上)"大明堂. 470 (2003)
• [文献書誌] 若尾祐司, 他: "近代ドイツの歴史"ミネルヴァ書房(予定). (2004)
• [文献書誌] 若尾祐司, 他: "歴史学事典(第10巻) 身分と共同体"弘文堂. 743 (2003)
• [文献書誌] 羽賀(鈴木)祥二, 他: "新修彦根市史 史料編近代1"彦根市. 956 (2003)
• [文献書誌] 羽賀(鈴木)祥二, 他: "日本史文献事典"弘文堂. 1667 (2003)
• [文献書誌] 和田光弘, 他: "アメリカ経済史の新潮流"慶應義塾大学出版会. 265 (2003)
• [文献書誌] 和田光弘, 他: "アメリカ研究入門(第3版)"東京大学出版会. 289 (2003)
• [文献書誌] 和田光弘, 他: "空間のイギリス史"山川出版社(予定). (2004)
• [文献書誌] D.ヒギンボウサム著(和田光弘, 他訳): "将軍ワシントン-アメリカにおけるシヴィリアン・コントロールの伝統"木鐸社. 215 (2003)
• [文献書誌] 加藤久美子, 他: "岩波講座 東南アジア史 別巻 東南アジア史研究案内"岩波書店. 306 (2003)