研究課題
今年度は各地域の資料の実状把握と資料の収集に努めた。時代ごと・地域ごとの調査・研究の内容はつぎのとおりである。旧石器時代については、周辺とは異なる環境要因に基づき後期旧石器時代の環日本海に想定される共通の生業構造の解明を目的に、九州の旧石器時代資料、韓国の済州島、江原道等各地の旧石器時代資料を調査した。新石器時代については、農耕開始直前の生業の実態を知るために日本の九州と北海道の縄文時代後期〜晩期資料、韓国の新石器時代末〜青銅器時代はじめの南江ダム水没地内一部遺跡の資料を調査した。農耕開始以後については、とくに韓国青銅器時代と日本弥生時代の生業とその社会的背景の異同を確かめるために、韓国では南江ダム水没地内の青銅器時代前期の畠跡や集落、栽培植物遺体、漁労関係資料、大邱地域の青銅器〜原三国時代の水田跡、蔚山地域の水田跡の資料等を、日本では九州・東海・関西の弥生時代資料を調査し、東南アジアではベトナムのドンソン文化期の土製支脚に含まれる稲籾の調査を進めている。また関西地域の旧石器〜弥生時代の自然環境と生業資料、北海道のアイヌとそれ以前の生業資料、マタギ等の現生狩猟技術等を調査した。調査では多数の写真資料、発掘調査資料を得、また生業とそれにかかわる生態的、社会的背景を調べるために中国、韓国の発掘調査報告書の調査も行ったが、整理の多くとデータベース化は次年度以降に残されている。これら調査の成果の一部は論文、口頭発表などで公表した。
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