研究課題/領域番号 |
12410105
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
古瀬 清秀 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70136018)
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研究分担者 |
東 潮 徳島大学, 総合科学部, 教授 (70243673)
安間 拓巳 広島大学, 大学院・文学研究科, 助手 (40263644)
河瀬 正利 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30093743)
村上 恭通 愛媛大学, 法文学部, 助教授 (40239504)
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キーワード | 鉄鍛冶技術 / 纏向遺跡 / 博多遺跡 / 鞴羽口 |
研究概要 |
今年度の研究は日本国内の鉄鍛冶技術の資料を各自分担して収集した。近年では弥生時代の資料が増加し、最近まではタガネ切り技法が優先された習熟度の低い鍛冶が想定されていた。しかし、九州を中心に各地に点在する弥生時代鉄製品や鍛冶炉の検討から判断すると、そういう状況ではなく、一定以上の高温下での鍛冶が操業されていた可能性が明確になった。一方、古墳時代にはごく初期から、奈良県桜井市纏向遺跡(勝山古墳周溝内)出土遺物、福岡県博多遺跡出土遺物などから韓国の鉄鍛冶が導入されたことを窺わせる資料の検討を行った。また古墳時代後期以降でも九州地方を中心に、鍛冶炉や鍛冶道具類の新たな資料の蓄積があり、それらの検討から、このころが技術体系が成熟した段階といえる。 今年度に韓国から海外共同研究者の招聘を想定していたが、別の団体が招聘したため、困難な状況となり、次年度の招聘を約束した。このため、今年度は代表者と分担者2名が中国四川省に渡航し、漢代蜀郡鉄官関係の資料収集を実施した。河南省と異なり、遺跡の発掘例がなく、資料の実査は困難であった。ただし、鉄官、工官の立地する環境、鉄官が山間すそ野にあり、工官が平原に立地する状況を確認した。 また、昨年度まで実施した鍛冶遺跡の発掘調査の成果報告書の作成の作業を行った。発掘調査に参加した学生が、原稿作成、図版作成、遺物の写真撮影、遺物の検討を実施した。金田石谷遺跡からの出土遺物は鉄滓のみであり、これらについて、代表者が所属する機関でこれまでに収集した各時期、各地域出土の鉄滓との比較検討を実施した。 鍛冶実験は今年度、実験鍛冶炉での実施ができなかった。広島県内在住の刀鍛冶の鍛練場での見学にとどまった。
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