研究課題/領域番号 |
12410106
|
研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
江上 幹幸 沖縄国際大学, 総合文化学部, 助教授 (30320518)
|
研究分担者 |
土肥 直美 琉球大学, 医学部, 助教授 (30128053)
上原 静 沖縄国際大学, 総合文化学部, 専任講師 (40320519)
|
キーワード | 集石遺構 / 砂丘遺跡 / 竪穴遺構 / 南琉球圏 / シャコ貝製貝斧 / スイジ貝製利器 / 土器 / 新石器時代後期 |
研究概要 |
最終年度にあたり、アラフ遺跡発掘調査の第5次調査を実施し、報告書作成のための整理作業を行う。 発掘調査地 沖縄県宮古郡城辺町新城荒牛 アラフ遺跡(砂丘遺跡・貝塚) 発掘調査期間 5次調査(平成14年12月13日〜31日) 昨年度出土した竪穴遺構の全貌とテーブルサンゴの性格を把握することを目的として、5次調査は実施された。 5次調査では、4次調査までのトレンチの北側に隣接して12×4mのトレンチを新しく設定し、調査を実施した。長雨にたたられ、計画時のV層まで掘り進めることはできなかったが、これまで間層としていたIV層から貝廃棄場が検出された。廃棄場は2面確認され、上面2.5x2.3mの範囲には集中的にチョウセンサザエやサラサバテイが出土している。特徴的な割れ方をしたチョウセンサザエが集中する場所もあり、食料採取以外に製品としても利用する意図がうかがえる。ほかにも突起部の欠損したスイジ貝製利器や、スイジ貝・クモ貝の研磨された突起部のみが出土し、破損したために捨てられたとみられる貝製品も多い。二枚貝はほとんど見られず、獣魚骨もわずかである。 5次までの調査ですべての層から集石遺構が確認されたが、集石はそれそれ様相が異なり、調理場としてだけではなく、生活文化を含め広くその用途を考察するための材料を提供している。今後の課題である。 竪穴遺構について、今年度は調査に至らなかった。再調査が必要である。 貝製品はシャコ貝、スィジ貝、クモ貝など未成品が多く出土している。製作工程を考察する上で興味深い資料である。 3次調査で出土した土器片に付着した煤から測定された年代はcalAD843を示した。わずか2点の資料では確実なことは言えないが、あらためて後期終末の時期についての活発な議論が必要とされる。 アラフ遺跡は砂丘上に営まれた遺跡で、しかもかなり起伏に富む地形条件のため層序的な把握がしずらく、不確定要素が残ることは否めないが、検出された遺構・遺物は、この地に数百年の間、断続的に人間が住んだことを示すことが明らかとなった。
|