研究課題
今年度は、研究の初年度にあたるため、飛鳥・奈良時代文字資料の基礎的データの収集・整理を主に行った。内容的に重要な資料でありながら、精密な写真が撮影されていないもの、肉眼観察以外の科学的な方法を用いた解読作業がなされていないものが、過去の資料に多く、現代の学問的要求に応じられるようなデータ収集を優先して行う必要があったため、このような作業を重点的に行う必要があった。具体的には、奈良県立橿原考古学研究所収蔵資料を中心に木簡・墨書土器・墓誌について、写真の新規撮影・赤外線カメラ等による観察・釈文の再検討を中心的に行い、さらにデータベース構築へ向けて写真のデジタル化、同時代文字資料の類例調査(大阪府難波宮跡・徳島県観音寺遺跡出土木簡、古代の墓誌)なども併せて行った。現在も整理・釈読作業を継続中である。13年度も引き続き、釈文の再検討など、基礎的データの完成を目指す。また、奈良県立橿原考古学研究所による今年度の飛鳥京跡第143次発掘調査で7世紀後半〜末の木簡が40点ほど出土し、これについても整理・解読作業を進めるとともに、釈文や内容に関する検討会を開催した。