研究課題/領域番号 |
12410121
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柏木 隆雄 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20098495)
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研究分担者 |
大矢 タカヤス 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30134034)
大下 祥枝 沖縄国際大学, 文学部, 教授 (40088745)
奥田 恭士 姫路工業大学, 環境人間学部, 助教授 (10177173)
芳川 泰久 早稲田大学, 文学部, 教授 (60175677)
村田 京子 大阪女子大学, 人文社会学部, 助教授 (60229987)
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キーワード | バルザック / 新聞連載小説 / 大衆小説 / ロマン主義 / レアリズム / ドラマツルギー / 挿絵(イラストレーション) / 広告と販売 |
研究概要 |
本年度は、前年度の研究成果を踏まえて、バルザックの仏文研究誌Balzac loin de nous, pres de nousを発行し、国内外の研究者、機関に配布した。本編は分担研究者8名の外、2名の協力者2名を含めた10人の執筆で、バルザックの小説の構造分析のみならず、当時の演劇、や科学的知識の動向をも視野に収めた論文集で、海外の研究者からも多くの反響があった。バルザック研究の基本的学術誌であるL'Annee balzacidnneの書評に取り上げられる予定である。また国内の唯一の仏文学術雑誌Equinoxe(臨川書店刊)の19号(20001年刊)で研究代表者の編でバルザック特集を組み、研究分担者4名を含む日本人6名、フランス、スイス、イギリス、カナダの一線の欧人執筆者4名を加えて、バルザックとその周辺文化に関して幅広い議論を展開することが出来た。これと平行して、研究分担者の一人澤田肇の勤務する上智大学をキィ・ネットとしてバルザック研究のホームページを作成、バルザックとその周辺文化に関する知識情報の日本における集積点とすると同時に、発信点としての機能を発揮することになった。このデータ集積の成果は今後ますます必要とされるし、またさらなる充実を期していくつもりである。また研究者個人の所有するバルザックおよび19世紀フランス文学、歴史関連の書籍の総合文献を作成し、共同研究の資とする試みも、多くの学生諸氏の協力で現時点の目録作成の目途がたった。本年3月印行を目標に現在鋭意作成中である。 本年度はモントリオール大学のステファン・ヴァション教授を研究協力者として招聘し、研究代表者の柏木とともに、大阪大学でバルザック研究についてのセミナーを行ったほか、獨協大学の国際フォーラムで「バルザックとその時代」と題して、単にバルザックの小説世界のみならず、日仏同時代を平行して考察するため、法律、社会問題、美術、出版に関して、それぞれの専門家とともに2日間にわたって充実した発表・討論をおこなった。その成果の一部は研究成果報告書に明らかである。発表・討論には共同研究者の他、フランスから2名の専門家をヴァション教授とともに招き、バルザック研究の最先端の知見を相互に披瀝した。このシンポジウムにおいて、バルザックがいきた19世紀前半のパリ社会と日本の文化・文政、天保期の文化が意外に類似する点や、しかもなお彼我の文化的底辺の相違が明らかにされ、きわめて有意義な2日となった。 さらに今回の共同研究の成果で強調すべきものに、関連資料、書籍の充実を付け加える必要がある。今後これらの資料が活かされ、新しい研究成果が生まれることになろう。
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