研究分担者 |
大矢 俊明 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 助教授 (60213881)
伊藤 眞 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 助教授 (60168375)
山田 博志 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 助教授 (10200734)
中本 武志 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 講師 (10292492)
加賀 信広 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 助教授 (20185705)
|
研究概要 |
研究実績の概要を箇条書きにすれば次のようである.(1)印欧諸語に見られる助動詞選択と同じ現象が上代日本語にも見られることを,萬葉集等の文献に基づく詳細な分析によって立証し,選択原理の普遍性と個別性に関わる重要な問題を提起した.(2)ドイツ語における「分離動詞」が,他の言語にもみられる動詞+不変化詞の構造を持ち,その不変化詞が副詞,形容詞,前置詞からの派生として統語的・意味的に連続していることを示した.(3)行為の空間的位置づけを行う際に,言語間にどのような違いが見られるかを明らかにする研究の一環として,フランス語の疑問詞ouを日本語の「どこ」と比較し,両者の類似点と相違点を明らかにした.(4)英語のone's way構文とドイツ語の再帰構文は,ともに主語の移動を表現するが,前者は「〜しながら移動する」という「様態」の解釈も持つのに対して,後者では主語の身体への働きかけにもとづく「手段」の解釈しか持たないなどの点が実証的に明らかにされた.(5)ロマンス語の使役は,言語・方言・時代によって様々な語順のパターンを見せるが,これはパラメトリックな差異ではなく,使役動詞がどの機能範疇を補部にとるかという範疇選択の相違によるものであることが明らかになった.(6)日英独の三言語において因果関係を示す条件文を詳しく比較することにより,どの言語においても因果関係を示すためだけに特別な形式を用いているわけではないことが明らかになった.(7)中国の寧波方言における主要な文法事項(アスペクト,ヴォイスなどを含む)を取り上げ,中国語の標準語や日本語と比較しつつ,大規模な記述を行なった.(8)日独慣用句にみられる語彙,比喩性,具象性における普遍的・個別的特徴を,特定身体部位を表す名詞を構成要素にもつ日独慣用句を例に分析・検討すると同時に,慣用句としての意味が生ずるメカニズムを明らかにした.
|