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2000 年度 実績報告書

象形文字ルウィ語の比較言語学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 12410127
研究機関京都大学

研究代表者

吉田 和彦  京都大学, 文学研究科, 教授 (90183699)

研究分担者 松本 克己  筑波大学, 文芸・言語学系, 名誉教授
家本 太郎  京都大学, 留学生センター, 助教授 (60222832)
大城 光正  京都産業大学, 外国語学部, 教授 (40122379)
キーワード象形文字ルウィ語 / ロタシズム / 楔形文字 / 楔形文字ルウィ語 / ヒッタイト語 / 印欧祖語 / 再建 / アナトリア祖語
研究概要

まずすでに発掘されている象形文字ルウィ語碑文の写真を包括的に収集することから始めた。これによって研究を正確に進めていく体制が整った。象形文字ルウィ語では、子音の有声と無声の違いは文字によって区別されていないが、a-ia-ti-i"he makes"とa-a+ra/i"id."などの形式にみられるように、tがrと交替するいわゆるロタシズム(rhotacism)という現象が観察される。この象形文字ルウィ語の形式に対応する楔形文字ルウィ語はa-ti、(やはり楔形文字で記録されている)ヒッタイト語はi-e-ziであり、楔形文字言語において母音間でシングルで綴られている子音は有声を表していたと考えられるために、象形文字ルウィ語ではロタシズム(d>r)が進行中であったと推定できる。他方、印欧祖語に再建される3人称単数現在語尾は*-tiであるために、うえのアナトリア諸語の形式は、アナトリア祖語の時期から、*yeh_1ti>*yae:ti>*yae:di>象形文字ルウィ語a-ia-ti-i、a-a+ra/i、楔形文字ルウィ語a-ti、ヒッタイト語i-e-ziという変化を蒙ったことが分かる(語根についてはラテン語ieci<yeh_<1->、ギリシア語iημιを参照)。アナトリア祖語の時期に生じたと考えられるこの子音の弱化規則(*t>*d)は、おそらくアクセントの位置や母音の長さによって条件付けられていると考えられるが、この変化を設定する妥当性はロタシズムを受けた象形文字ルウィ語の形式によってはっきりと裏付けられることが明らかである。以上の構想のもとで、碑文を読みながら、ロタシズムを受けたrを含む形式を収集すると同時に、対応する楔形文字言語(ヒッタイト語、楔形文字ルウィ語、パラー語)、他のアナトリアの言語(リュキア語など)、他の印欧諸語の形式を同定することを試みた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Kazuhiko YOSHIDA: "Assibilation in Hittite and Related Problems"京都大学文学部研究紀要. 39. 1-88 (2000)

  • [文献書誌] 吉田和彦: "ヒッタイト語史的形態論研究-再帰小辞の先史"京都産業大学国際言語科学研究所所報. 21. 241-270 (2000)

  • [文献書誌] 吉田和彦: "アナトリア諸語の2つの名詞にみられる母音交替"西南アジア研究. 52. 1-12 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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