研究課題/領域番号 |
12420004
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
亘理 格 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30125695)
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研究分担者 |
厚谷 襄児 帝京大学, 法学部, 教授 (90222637)
村上 裕章 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (20210015)
吉田 克己 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20013021)
稗貫 俊文 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70113610)
畠山 武道 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40062666)
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キーワード | 契約的手法 / 民間委託 / 日本版PFI / 社会資本整備 / 稀少動植物保護 / 個人データ保護 / 法のプロセス化 |
研究概要 |
行政各分野における契約的行政手法の実態に関しては、まず公共契約分野で、工事のみならず設計・施工監理でも民間委託が進行しており、かかる事態への対応策として、発注者である中小市町村等をノウハウ面で支援する制度が必要となっていることが明らかとなった。また、1999年に公布施行された「日本版PFI法」に関しては、責任とリスクの官民分担を予め協定等により明確化しておくこと等、PFIの基本理念の現われと認められる面がある一方、公共事業テコ入れのためのインセンティヴとしての性格が強くPFIとは異質の要素も多く含まれていることも明らかとなった。さらに、PFIの場合、道路・空港等の公共施設から社会福祉・教育施設等の公益的施設並びに情報通信・リサイクル施設等に至るまでの極めて広い範囲の社会資本を、企画立案・建設から維持・管理・運営に至るまで民間に委ねる可能性を開くものである。それだけ公共サービスを直接重大に左右する方式であるにもかかわらず、合意内容の適正さや、合意内容の遵守も含め適正な公共サービス提供を確保するためのコントロールのあり方への関心が稀薄である、という問題点も明らかとなった。 他方、アメリカ環境法では、絶滅に瀕した動植物の私有地上での保護や稀少動植物の取引規制に契約や協定が用いられることが明らかとなった。また、EUの個人データ保護法では、国境を越えたデータ流通に伴う個人データ保護のため、事業者間での契約や業界内自主規制のための行為準則を重視する動きのあること等が、明らかとなった。以上のような国内外にわたる契約的行政手法の比重の高まりは、「法のプロセス化」という現代法特有の現象の現われでもある。契約的行政手法の研究は、その意味で、現代法の特質の解明という面でも重要な意味をもつことが明らかとなった。
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