研究課題/領域番号 |
12420004
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
亘理 格 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30125695)
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研究分担者 |
稗貫 俊文 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70113610)
畠山 武道 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40062666)
厚谷 襄児 帝京大学, 法学部, 教授 (90222637)
吉田 克己 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20013021)
村上 裕章 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (20210015)
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キーワード | 契約的行政手法 / 協議的手法 / 行政契約論 / PFI / 公共サービス / 介護保険 / 緑地協定 / 公共工事契約 |
研究概要 |
第1に、契約手法による公共施設整備として、PFI事業が急速に拡がっていることが判明した。国レベルでは、都心再開発事業と連動した庁舎や公務員宿舎の建替えがPFIの実施例として計画されている。他方、地方自治体レベルのPFI事業は大きく先行しており、対象事業も情報関連施設、廃棄物処理・リサイクル施設、公立の学校・幼稚園、公立病院等と多種多彩であることが明らかとなった。 第2に、社会保障分野では、現物給付中心の制度から、介護保険等に代表されるように施設と利用者との私的契約関係を重視した制度へ重心移動するに応じて、契約手法の下で公的責任を確保するための新たな法理論の構築が求められていることが、明らかとなった。 第3に、環境法分野でも契約的・協議的手法の重要性が明らかとなった。特に都市緑地保全について、緑地協定等の法制度が、事業者への土地売却によって事実上機能しない状況となる場合が多く、そのような事態を未然に防ぐため、売却前に自治体が借上げ・買取りのための事前協議に入ることを可能とする法制度が、必要であることが判明した。 以上のような種々の行政分野における契約化は優れて現代的な法状況の一面であり、民法理論に照らして行政契約の普遍性と特異性を解明することにより、行政契約法と民事契約法とを通した現代契約法共通の基盤を解明する必要のあることも判明した。他方、わが国の場合、行政契約の適正さや公益性を確保するためのルールが十分確立してはいないため、契約手法の下で適正な公共サービスを確保するための法理論と制度を構築することが、喫緊の課題であることが明らかとなった。
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