研究課題/領域番号 |
12420008
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渡辺 惺之 大阪大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30032593)
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研究分担者 |
道垣内 正人 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (70114577)
野村 美明 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (20144420)
櫻田 嘉章 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10109407)
茶園 成樹 大阪大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (30217252)
中野 俊一郎 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30180326)
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キーワード | 知的財産権侵害の国際裁判管轄 / 在外証拠の収集 / 外国判決承認と相互主義 / 共同訴訟の国際裁判管轄 / 国際仲裁 |
研究概要 |
1.仲裁 韓国は1999年12月31日に新仲裁法を公布施行した。わが国でも2002年4月に仲裁法研究会により新たに「仲裁法試案2001年改定」が公表され立法化に近づいた。両者はUNCITRALモデル法を基に両国の実情に応じた修正を加えているが、そこには興味深い相違も見られる。例えば仲裁適格につき韓国仲裁法は直接の規定を置かず、仲裁判断取消事由として、対象となった紛争が韓国法上に仲裁により得ないときと規定する。日本では強行法規により仲裁不能な場合を除くとの規定が検討されたが、当事者が「和解」できるとの表現を「決定」できるに改めた定義規定を置いた。両国仲裁法に表れた違いは国際仲裁へ向けた普遍性に関する意識の違いに由来するように思われる。 2.知財侵害訴訟の裁判管轄 日本では条文上の根拠を欠くが、基本的に不法行為訴訟の特別類型と見て被告の住所地、不法行為地に管轄を認める見解が有力である。韓国の場合、侵害事件は特許法院の専属管轄ではなく新民訴法改正でも高等法院所在地の地方法院に特別裁判籍を認めた、国際私法24条の知的財産権侵害は侵害地法によるとの規定は韓国法院の外国知財侵害に対する裁判管轄を予定している、救済の可能性を拡げる等の考慮から、通常の国際裁判管轄原則によると解されている。被告住所地国管轄の他に、韓国では差止訴訟について登録国に特別管轄を認める一方、損害賠償訴訟については不法行為訴訟に準じて考える見解が有力である。わが国でも差止め訴訟については特別な考慮を要するという見解もあるが、なお議論を要する状況にある。 3.国際裁判管轄 日韓両国は国際裁判管轄に関して米国法理の影響を強く受けている。韓国の国際私法2条は国際裁判管轄に関する一般規定として、米国流の国際裁判管轄法理を規定化した。日本においても特段の事情は米国の管轄理論の導入であったことが再認識され、新たな分析が加えられている。
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