研究課題/領域番号 |
12420013
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
中山 充 香川大学, 法学部, 教授 (60093910)
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研究分担者 |
鳥谷部 茂 広島大学, 法学部, 教授 (20155609)
富井 利安 広島大学, 総合科学部, 教授 (40006466)
村上 博 香川大学, 法学部, 教授 (00136839)
廣瀬 肇 海上保安大学校, 教授
横山 信二 松山大学, 法学部, 教授 (70132644)
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キーワード | 瀬戸内海 / 環境保全 / 海域利用 / 瀬戸内法 / 海砂採取 / 海面埋立 / 産業廃棄物 / 環境権 |
研究概要 |
中国の福建省福州と韓国の仁川・ソウル等での共同調査により、両国の海域管理法制、海と川での砂利採取の状況、特徴、課題、日本への砂利輸出の経緯などを明らかにした。中国では、川砂採取の規制は災害防止の観点から行われ、環境保全は意識されていない。韓国では、海砂の採取が環境に悪影響を及ぼすことが判明すれば採取を制限する予定であり、国内需要から考えて、今後砂の輸出はしない見通しである。また、瀬戸内海地域のヒアリング・資料調査及び全国のアンケート調査により、各都道府県の砂利採取の状況、特徴、課題などを明らかにした。日本でも砂利採取法の規制は災害防止を主たる目的とし、環境破壊の防止の側面では配慮が不充分である。 埋立事業に関する環境アセスメントの状況の把握など、各自の調査研究と4回の共同研究会も行い、瀬戸内海の環境保全と海域利用について様々なことが明確になった。たとえば、鞆の浦の景観は、地理的環境を基礎にして鞆の浦が歴史的に重要な役割を担い発展してきたことに伴って、文化的に重要な建築物と織りなし創造されてきたが、経済的地盤沈下によって改変を迫られている。判例の態度は、景観の保護についてなお消極的である。循環型社会を構築しようとするエコタウン事業では、廃棄物の排出抑制等のための政策との位置づけを明確にすることと、廃棄物処理のコストの考慮を自区内処理の原則を踏まえて行うことが重要である。海域利用は、海上安全の確保、海洋環境の保全等を前提にして、話し合いと合意の形成によって調整されるべきものである。住民が環境を共同で利用する権利を有するという考えを基礎にして、住民の自発的、積極的な行動を促進しつつ瀬戸内海の環境を管理する制度を構築することも、瀬戸内法に関する課題の一つである。
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