研究課題/領域番号 |
12420018
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山影 進 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10115959)
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研究分担者 |
白石 隆 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (40092241)
石井 明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10012460)
山本 吉宣 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (20092025)
大庭 三枝 東京理科大学, 工学部, 講師 (70313210)
小笠原 高雪 山梨学院大学, 法学部, 助教授 (50247467)
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キーワード | ASEAN / インドシナ / 日本外交 / アジア太平洋 / 地域主義 / 地域統合 |
研究概要 |
本課題の初年度に当たる昨年度の研究実績の一部が、今年度の前半に研究代表者を編著者とする『転換期のASEAN』の中に反映した。とくに代表者による「ASEANの基本理念の動揺」と研究分担者である小笠原による「ベトナムにとってのASEAN」がそれである。また白石は『インドネシアから考える』を出版し、その中でインドネシア政治変動に関する近年の諸研究を本研究課題と関連させてまとめた。 第2年度にあたる今年度は、1990年代以降の展開を中心に、(1)島嶼部および大陸部における政治変動とASEAN統合との関係、(2)ASEANにおける統合の深化と拡大の様相、(3)日本・ASEAN関係、(4)ASEANを中心とする国際協力制度(APEC, ARF, ASEAN+3)の4点を重点的に研究した。これらの項目を中心に共同研究者どうしの研究会を3回開催して、とくにアジア太平洋レベルの国際制度と最近急速に制度化を進めているASEAN+3(ASEAN+日中韓)との関係について重点的に議論を深めた。また、本課題に関係する基礎資料や日本、東南アジアにおける報道のされ方に関する資料の収集と整理も本格化しつつある。 現段階で明らかになったことは、ASEANの拡大によって内部の格差と多様性は疑いもなく増大し、組織に対する負荷を高め、分裂要因として作用しているものの、ASEAN諸国は、むしろそのような客観状況を危機と捉えて、求心力も同時に高まっている。それが、経済統合への取り組みを続けていること、広域秩序形成への関心を失っていないことに現れている。問題は一部のASEAN加盟国(とくに従来の中心であったインドネシア)において、ASEANとしてまとまる上での当事者能力の欠如を疑わせる事態が続いていることである。
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