研究課題/領域番号 |
12420019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
馬場 康雄 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40013031)
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研究分担者 |
村上 信一郎 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10305675)
小野 耕二 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70126845)
宮崎 隆次 千葉大学, 法経学部, 教授 (10113870)
斉藤 純一 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (60205648)
宮本 太郎 立命館大学, 政策科学部, 教授 (00229890)
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キーワード | 民主主義 / キリスト教民主主義 / 社会民主主義 / 自由民主主義 / ヨーロッパ / 政治史 / 政治思想史 / 20世紀 |
研究概要 |
研究会は当初の予定通り、まず社会民主主義やグローバル化といった鍵概念の定義や概念レベル(体制・運動・思想)などについて、参加者間の討議を通じて摺り合わせを行い、次いで、各人の分担分野に関する研究報告とその検討に移った。報告が一巡し、現在、馬場を中心に取り纏めや調整が行われているが、その主な内容は以下の通りである(記載順は実際の報告の順序には一致しない。) まず、政治史的アプローチの側からは、中山が、西欧各国において、世紀末以降の社会民主主義とキリスト教民主主義の運動・組織形態に違いが生まれてきた過程を概観し、現地資料調査の成果を踏まえ、その比較政治史的説明を試みた。他方、小川有美(千葉大学法経学部。ゲスト)は西欧における「3つの民主主義」の政治文化を支えてきた大衆組織が解体した今、民主主義への市民の動員がどのような形で可能であるかを、新しい社会運動の実態分析を通じて考察した。これに対して、村上は、キリスト教民主主義の「枯渇」の裏側で、現代のカトリック教会が、教義面での源泉回帰と共に新たな信者動員・組織化の手法を試みていることに注意を促した。こうした西欧の概観を踏まえて、小野はドイツの、宮本はスウェーデンの社会民主主義が、グローバル化・EU統合の深化の中で新たなモデルを模索している姿を描き出した。 これに対して非西欧世界については、中北が日本の自由民主主義の確立過程を実証的に描き出し、大串がラテン・アメリカ、仙石がポーランドを中心とする東欧についてそれぞれ比較的考察を試み、西欧との比較の基本的視座を提起した。 思想史的アプローチの側からは、川崎がラディカル・デモクラシー論の再構成を通して、また、苅田は「テジタル・デモクラシー」の実験の検討を通して、斉藤は「社会国家」が齎す統治形態の変容の分析を通じて、いずれも民主主義の組織形態の問題に迫り、政治史側との接点を明らかにした。(799字)
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