研究課題/領域番号 |
12420021
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
片山 裕 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (10144403)
|
研究分担者 |
松下 洋 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (60065464)
内田 康雄 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (90146556)
上野 宏 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (10324906)
高橋 基樹 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (30273808)
本台 進 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (70138569)
|
キーワード | ネオ・ポピュリズム / 構造調整 / 新自由主義 / グローバリゼーション / 発展途上国 / 民主化 / 労働市場の柔軟化 / 地域統合 |
研究概要 |
本年度の研究は、3つの柱をもって行われた。第1の柱は、発展途上国の政治におけるポピュリズムとネオ・ポピュリズムに関する既存理論の整理と検討である。第2の柱は、新たな分析枠組に基づき、またそれを再修正するための現地調査の実施である。第3は各国・地域の民営化を中心とした構造調整政策の把握である。第1の点については片山、松下を中心に数度の研究会を催し、特にラテン・アメリカにおけるポピュリズムと比較しつつ、新自由主義的な構造調整政策と民主化と並行する現代のネオ・ポピュリズムの特徴について検討を行った。そこでは、過去のポピュリズムが財政拡大政策を通じて都市労働者等の大衆の支持を取り付ける政策だったのに対して、現代のネオ・ポピュリズムは大衆への働きかけという点は変わらないものの、財政均衡政策の下で経済自由化という制約の下にあるために、より複雑な政治取引の過程を伴うものであることが、考察の結果明らかとなった。この点をとりわけアルゼンチンに適用した研究成果が、松下によって近々発表の予定である。第2と第3の点については、当初の分担を若干変更して、次のように各国を担当した。すなわち、片山:フィリピン、上野:モンゴル、内田:南アフリカ・モザンビーク、松下:アルゼンチン、本台:インドネシア、高橋:ザンビアとガーナである。片山、内田、松下、本台はそれぞれ分担した対象国においてフィールド・ワークを行った。また上野と高橋は、別の機会に対象国を訪れた際に(高橋についてはガーナのみ)、本件についても資料収集・研究調査を行った。各対象国の構造調整政策とその下における社会政治状況についての研究成果は、下に掲げる業績のいくつかに既にまとめられている。 第2年度以降は、上記のように形成されつつあるネオ・ポピュリズムの分析枠組みを用いつつ、各国の実証研究調査の比較対照を進め、同枠組みの精緻化を進めてゆく。
|