研究概要 |
現在UNTAET(国連暫定行政機構)下にある東ティモールは、本年内の独立を前に,国内的・対外的にきわめて複雑かつ流動的な状況を呈している。1999年8月の「帰属」をめぐる住民投票後の暴力的様相こそ終結したものの,安定した中央・地方政治行政の枠組み作り,経済復旧,言語・教育問題等々、多くの課題をかかえている。 このような東ティモールの「国民国家」形成のプロセスとそれを取り巻く国際社会の関与を分析することを主課題とした本研究グループは、平成12年度においては、日本国内での一次資料の收集(とりわけJ・ジョクフィ・コレクションの購入)をはじめ来日した東ティモール人との面接、外務省担当者とのヒアリングを行なった他・のべ四回の海外調査を実施した。(主たる訪問地は東ティモール,同地の旧宗主国ポルトガル,前支配国インドネシア、および欧米における東ティモール関係NGDの拠点オランダ)。 とりわけ東ティモールでの予備的調査においてUNTAET関係者,東ティモール各分野の指導層,内外のNGD関係者から現状についての詳細な証言を得ることができたのは、今後の本格的調査にとってきわめて有益であった。またポルトガル、インドネシア、オランダはそれぞれの政治経済的利害,文化的つながり等からみて、東ティモールの今後の「国民国家」形成に大きな影響力をもつと考えられるが、この点に関わる各国の対東ティモール政策・関与のおり方についても、一定の具体的情報(文献,ヒアリング)を蓄積し、次年度の研究活動の基盤作りをなし得た。
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