研究課題/領域番号 |
12430003
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
井上 泰夫 名古屋市立大学, 経済学部, 教授 (80160000)
|
研究分担者 |
平野 泰朗 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (20165195)
花田 昌宣 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (30271456)
勝俣 誠 明治学院大学, 国際学部, 教授 (70204443)
|
キーワード | レギュラシオン / 東アジア / EU / 経済統合 |
研究概要 |
「国際経済統合の比較制度分析」(平成12年度科学研究費補助金基盤B)は3年計画のプロジェクトであり、本年度はその第1年度として、主としてEUにおける経済統合の過程を総合的に分析することに共同研究の重点が置かれた。熊本、屋久島、東京(2回)そして、台湾での各研究会を通じて明らかになったのは、現在のEUに至る過程がほぼ半世紀に及ぶ長期的過程であることであった。また、その過程のなかで独・仏という主要なリーダー国が存在したことも特徴的であり、さらに、政治と経済の論理が相互に絡み合いつつ進展したのであった。ここから、ただちに東アジアにおける経済統合の可能性について論じることはできないにしても、現在の東アジアにおける状況とはかなり相違していることがわかる。したがって、たんに並行的に経済統合の過程を比較することは本研究では意味をもたない。さらに、通貨統合まで実現されているEUにおいても、単一通貨が市民生活レベルでいかにして市民権を獲得しうるのか、という「主権通貨」の問題がこれからの課題として残されている。はたして、EUが辿ったような軌跡、すなわち、市場統合-通貨統合というシナリオが唯一可能なものであったのだろうか。その結果、現在のように社会統合が遅れることになったとすれば、別の道の可能性も存在したかも知れない。この点は、東アジアにおける経済統合の問題を考えるとき、分析すべき論点の一つになるだろう。
|