研究課題/領域番号 |
12430011
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
METHE David T 上智大学, 比較文化学部, 助教授 (50294244)
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研究分担者 |
浅川 和宏 慶応義塾大学, 大学院・経営管理研究科, 助教授 (50276424)
岡田 仁孝 上智大学, 比較文化学部, 教授 (50158812)
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キーワード | 研究体制 / 技術革新 / ストラテジー / 流動化 / 継続性 / 半導体産業 / テレコムニケーション産業 / バイオ産業 |
研究概要 |
日本のハイテク産業は、90年代において欧米に劣勢になった。なぜなのか。技術体制そのものが原因なのか。だとすれば、研究所や企業は如何に対処しているのか。Northの制度理論をもとに技術体制と組織戦略における継続と流動化に注目した。この取り組みは、制度学派と経営学者が、それぞれのアプローチを尊重しつつ、体制と組織戦略の相互作用に注目することにより、より実情に適した日本産業の失敗と成功要因を把握し、問題点における解決策を模索しようと言う新しいトランスディッシプリナリーなアプローチである。 日本に基礎技術力が存在する半導体やテレコム産業と存在しないバイオ産業では、革新の原動力や変革課程が違っている。前者においては、旧体制からの脱皮は、大組織の分解と組織間の合理的再融合であり(i-modeや半導体産業における国内企業間での協力が良い例)、その触媒となったのは、新しい発想からなる企業間や企業・政府間の協力活動と法制度や大学・国立研究機関等の変革の動きであった。反対に、後者においては、既存技術力の再構築ではなく、製薬型旧体制から、ゲノム時代に合った新制度の構築に動いており、国内の動きと同時に、研究開発活動の国際的連携により、先進地域に革新の源泉を求め、その圧力をフルに利用し国内政府施策が展開され、又、その変革が企業のより活発な革新を可能にしている。技術体制と企業戦略とは、両産業において相互に影響を及ぼし合っている。しかし、変革のきっかけは、国内技術依存型においては国内既存組織間の新しい協力活動であり、国内技術欠乏型においては、市場依存型を取る。前者では、体制的変革が先行し、後者では、企業変革が先行する。現在新体制への移行が成功裏に終わるか、また、それが市場の動きに合っているのかの判断は、時期尚早である。基本的には、企業と技術体制の再構築とその両者の相互作用が起こるかどうかが、解決の鍵である。
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