研究分担者 |
河村 哲二 武蔵大学, 経済学部, 教授 (20147010)
横川 信治 武蔵大学, 経済学部, 教授 (20174849)
板垣 博 武蔵大学, 経済学部, 教授 (20125884)
杉本 伸 武蔵大学, 経済学部, 助教授 (90262138)
清水 敦 武蔵大学, 経済学部, 教授 (90192111)
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研究概要 |
これまでの研究によって得られた知見の要点は以下の通り。 1.1990年代以降,現代資本主義はそれ以前の福祉国家化の段階から,資本主義的市場経済のグローバル化の段階に移行した。 2.米国は,軍事的優位と市場原理主義を背景に,他地域に対して市場開放を迫り,ITや金融操作技術などの優位性を利用して,米国系多国籍企業のグローバル展開を推進した。米国の1990年代の好況は,1980年代以降の経済構造の転換が効果を示した一方で、対外純債務の累積,国内所得格差の拡大,マネー経済偏重によるバプル崩壊と不況といった構造的問題を生み出した。 3.EU諸国は,市場原理主義の部分的採用によって硬直した労使関係からの脱却をはかるとともに,EU域内での結束を強化し,共通通貨の実現など、独自の経済を模索し、福祉や環境の面で新たなモデルを生みだしつつある。 4.アジアは,1990年代後半以降一部を除いてその競争力は急速に回復し,中国を筆頭に「世界の供給基地」どしての性格を強めつつある。特に東アジアは、急速に進む域内分業の拡大と,それを主導する日米欧多国籍企業の企業内分業の舞台であり,経済的パフォーマンスが最もダイナミックな地域として形成されつつある。 5.1990年代以降停滞を続けている日本経済の構造的原因は,アメリカモデルへの安易な追随による市場原理主義的経済政策によって、ミクロレベルの経済主体が萎縮してしまい、日本的システムの積極面を活かした改革が進まないことによる。 6.今後の計画:アメリカ依存を克服するためにも、アジアとの関係で日本の果たす独自の役割が期待されており、その面での潜在的可能性についての分析を進めたい。これについては、平成15年度科学研究費補助金,基盤研究(B)(2)「東アジアにおける域内分業の進展と,日本の産業・企業再編成の動向--グローバリゼーションとの関連で--」の採択を申請している。
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