研究課題/領域番号 |
12430016
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済政策(含経済事情)
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
鈴木 茂 松山大学, 経済学部, 教授 (20109721)
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研究分担者 |
小淵 港 愛媛大学, 法文学部, 教授 (20136302)
中安 章 愛媛大学, 農学部, 助教授 (20145064)
高原 一隆 広島大学, 総合科学部, 教授 (90145970)
MICHISHITA Masaaki Economics, Matsuyama University (10299357)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 本四連絡橋 / 高速道路 / 観光産業 / 地域産業 / 離島 / フェリー航路 / 瀬戸内海 / グリーン・ツーリズム |
研究概要 |
本四連絡橋の開通は四国の地域社会や経済活動に対して大きなインパクトを及ぼした。全国的な鉄道及び高速自動車道と連結し、本四間の移動時間の短縮、定時性、随意性が高まり、四国地域と中国地域との生活圏の一体化が進行した。その結果、観光客の急増、工場立地件数の増大、テーマパークの建設等、四国地域の経済的活性化をもたらした。また、尾道・今治ルート(しまなみ海道)沿線の離島地域は、柑橘栽培の盛んな地域であり、架橋を契機に共同選果場の移転など、輸送・流通体制の再編成が行われている。しかし、架橋効果は一時的なものであり、バブル経済の崩壊と不況の長期化も加わって、観光客が急減し、テーマパークの閉鎖やホテル・旅館の倒産が相次ぎ、3兆円を超える巨大プロジェクトに依存した外来型開発政策の限界が顕在化している。したがって、架橋効果を活用した地域振興を図るには日本最初の国定公園であり、世界有数の多島美を誇る瀬戸内海固有の自然景観を保全しつつ、地域住民が主体となって基幹産業である農林業の振興やそれと結合した内発的な観光開発(グリーン・ツーリズム)に取組むことが今後の課題であろう。そのためには、工業的利用に偏った瀬戸内海の利用を転換し、沿岸域の景観を修復して観光開発に対応した環境を整備すること、エージェントに依存して団体客にターゲットをしぼった大量販売型観光開発から個人や小グループを対象とした多様な観光サービスを提供すること、中山間地域で取組まれているグリーン・ツーリズムとの連携を図ること、ギリシャ等の欧米の先進的な観光開発政策を推進している地域との交流を図ること等、架橋効果を活用した観光産業の振興策を構築することが今後の課題となろう。また、架橋と高速自動車道の整備は、時間短縮効果をもたらしているが、通行料金が高いこと、トラックとフェリーによる既存の輸送体系が存在すること、不況による経費削減等のため、橋の利用は期待されたほど増加していない。さらに,橋が架からなかった離島では、フェリー航路の再編成(減便)によって離島住民の足が喪われつつある。こうした架橋後の地域社会の実態をふまえた内発的な地域づくり・産業おこしに取組むことが、今後の重要な政策課題である。
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