研究課題/領域番号 |
12430018
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
鈴木 恒夫 学習院大学, 経済学部, 教授 (50196846)
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研究分担者 |
和田 一夫 東京大学, 大学院・経済学研究科・経済学部, 教授 (20121478)
小早川 洋一 中部大学, 経営情報学部, 教授 (50267902)
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キーワード | デジタル情報 / 共同出資型兼任役員 / データベース / ネットワーク / 大量観察による歴史分析 / 会社役員 |
研究概要 |
昨年度は、明治31年と40年の『日本全国諸会社役員録』の全データのチェックと、兼任役員の実態を考察するに当たっての、基礎的な関係をコンピュータを用いて検出した。本年度は、そこで得られた基礎的な二人×二社というデータをベースに、日本全国にわたる実態を検出するのに成功した。われわれの研究成果の意義は、大きく分けて2つある。第1点は、明治期以降、紙媒体で公表されてきた役員録や会社情報などをデジタル情報に転換する際に生じる、表記上のミスの発見や入力上のミスの特定を、目で見て修正するのではなく、それらの構造を特定し、コンピュータによって発見させる手法を確立したことである。これによって、文字情報をデジタル化する際の信頼性を飛躍的に高めることが出来た。第2点は、役員はもとより会社や役職などの情報をデジタル化することにより、ここから、特定の人物、地域あるいは業種でグループを検出することが出来たことである。換言すれば、会社、役員、役職、公称資本金などのデータから出来ている役員録や人名録から、彼らが特定の人物や地域でグループを結成し、共同出資型・兼任役員という形態をとっている実態を見つけることが出来たことである。これらは、基準(クライテリア)を設定し、この基準に即した検出作業をすべて、コンピュータによって見いだされた。大量観察の手法を確立し得たと自負しうる。ここから、従来財閥以外の企業家の実態を、全国に亘って鳥瞰することが出来た。従って、デジタル化の手法を用いて、明治期以降の資料をデジタル化するとともに、これらのデータを用いて、コンピュータ自身によって、これまで明らかにされてこなかった、企業家、株主、業種、地域、役職の日本全国レベルでの展望と変容を明らかにすることが、今後の課題である。
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