研究課題
平成13年度には、3種類の研究実績を残した。第1は旧満州地域の経済統計の収集とそれにもとづく推計作業で、人口・工業・農業の三つの分野で大きな前進があった。人口については『臨時国勢調査』『現住戸口統計』にもとづき1932〜39年の期間の人口推計を行った。工業については『満州産業統計』『満州国工場統計』を基礎資料とし1931〜40年の9産業別の工場数、職工数、実質生産額の推計を行った。また農業については『農産物収穫高予想』をすべての年次について収集し、それに基づき1924〜45年の期間について主要作物の作付面積と生産量の推計を行った。実績の第2は戦前中国関内地域を対象とした研究で、これは2つの分野で大きな成果を収めた。まず1930年代後半から40年代前半の中国華北地域における農業生産量の推計である。当該地域・時期については日中戦争の影響によって統計数字が空白であったが、今回日本側が実施した統計調査を発見しそれにもとづいて統計の空白をかなりの程度埋めることができた。また香港の貿易統計を精査することによって、『海関統計』の数字の問題点を明らかにし、また戦前アジア貿易における香港の位置づけを明らかにした。第3は戦後中国を対象にした研究成果である。これも3つの分野で成果を挙げた。(1)1949〜99年の人口・産業別労働力の推計でこれは最終推計結果が公表された。(2)中国の経済統計制度の変遷に関する研究が行われた。(3)未公表の賃金データを入手しそれに基づいて工業(40産業分類)賃金の推計(1952〜97年)が行われた。このような成果は下記の5回の定例研究会の場で発表された。第1回平成13年4月21日、第2回7月7日、第3回10月13日、第4回12月22日、第5回平成14年2月23日。なお平成14年1月には中国社会科学院経済研究所・岳希明研究員を招聘し戦後中国の工業生産統計に関する研究会を行った。
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