宇宙開発事業におけるリスクマネジメントの基礎概念を明確にすると同時に、その対応措置について、以下のような考察を行った。 1.欧州宇宙機関(European Space Agency)におけるリスクマネジメントの概念および方法、実施プロセスなどの資料を収集、分析した。 2.確率論的安全評価手法(Probabilistic Safety/Risk Assessment)を宇宙機器製造の安全性評価に応用し、安全確保の基準を設定することを検討した。 3.安全性解析とリスク評価について、開発するシステムの構想段階、基本設計段階、詳細設計段階、および認証試験終了時点の各フェーズにおける残存リスクの適切な制御に加え、システムの運用段階における異常事態対処の可能性を検討した。 4.宇宙ミッションの事例研究として、国際宇宙ステーションを対象にし、プログラムの対応すべきハザードとシステム設計に潜在しているリスクをいかに識別するかを考察するためのデータを収集した。 5.NASAの要求するリスクマネジメントの内容およびJPLで実施されているリスクマネジメントのプロセスと方針の資料を収集した。 6.プロジェクトのライフサイクルにおけるリスクマネジメント活動の実態を把握した。 7.プロジェクトでリスクマネジメント実施の組織化として、適切な体制構築のための概念を明確化した。 8.今後の課題として、リスク情報の処理およびリスク分析の手法を再検討する必要があることが再認識された。 9.さらに、NASDAとNASA関連機関・研究所のリスクマネジメントに関する資料の収集と分析を継続的に続ける必要があることとなった。 10.航空機製造分野のリスクマネジメントも範疇に入れ、考察・検討することとした。
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