研究分担者 |
小木曽 啓示 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (40224133)
川又 雄二郎 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (90126037)
桂 利行 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40108444)
堀川 穎二 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40011754)
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研究概要 |
高次元代数多様体および複素多様体の研究において,小平次元0の多様体はファノ多様体,一般型多様体とともに基本的研究対象であるが,いわゆるBogomolov分解定理によると,小平次元0の極小非特異多様体はさらに複素トーラス,複素シンプレクティック多様体および特殊ユニタリ多様体から構成される.この意味で複素シンプレクティック多様体は高次元多様体理論における一群の基本素粒子というべきものである.複素シンプレクティック多様体に対してはK3曲面理論の一部が拡張され,今のところ有効な手がかりが見つからない特殊ユニタリ多様体と比較すると,ずっと扱いやすいことが期待される. 本課題では,複素シンプレクティック多様体および複素シンプレクティック多様体と密接に関連する話題について,多面的研究を行うことを目標としたが,非特異な複素シンプレクティック多様体からの正則写像の構造については満足すべき結果が得られた.射影非特異複素シンプレクティック多様体Yから別の正規射影多様体への非自明な正則写像があれば,多くの場合Yには射影空間が乗っていて,この正則写像の構造に極めて強い制約を課す.Yの複素構造を変形することでYからの非自明正則写像の存在が期待され,上記の制約条件はYの変形同値類の有限性を強く示唆する. このような進展の鍵となったのは,代数多様体上の有理曲線族の徹底的解析と,そこから得られる射影空間の変形理論的特徴付けであって,その直接の帰結として,長さn+1のn次元Fano多様体が射彩空間である,という長らく懸案だった森重文と向井茂の予想が証明される.
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