研究課題
混合モティーフ理論と相対モティーフ理論について、以下の結果を得た。(1)D(κ)を体κ上のうえの混合モティーフ層のなす三角圏とするとき、射影代数多様体にその混合モティーフ(あるD(κ)の対象)を対応させるこができることを示した。D(κ)の定義自体は非特異射影代数多様体を用いるが、cubical hyperresolutionという技法により、射影代数多様体を非特異なもので置き換えられることをつかう。(2)位相的層についての分解定理の類似定理を混合モティーフ層について定式化し、それをいくつかの特別な場合に証明し、その応用を見つけることが興味深いことである。この研究はその原理的解決がA.Gortiとなされている。さらに実際にモデユラー多様体へ応用ができる形で米国のB.Gordon,オランダのJ.Murre両氏と共同研究が進行中である。両氏を7月に九州に招いた(そのうち、J.Murre氏は代表者の科研費による招聘)。その結果、Hilbertモデユラー多様体のうえのKuga-Sato族について、代数的サイクルに関するGrothendieck-Murreの予想が示され、論文にまとめられた。(3)積代数多様体のコホモロジーをもちいて、homology correspodenceの概念が考えられ、correspondenceの合成をコホモロジーのレベルで考えることは、よく知られている。これを、chain levelでおこなうことを考えた。つまり、あるcochain complexで、積代数多様体のコホモロジーをを与え、しかも合成写像がcochain complexの写像として定義できるものを与えた。以上をBetti cohomologyとetale cohomologyについて、それぞれ示した。