研究概要 |
・概均質ベクトル空間のL関数について:有限体上の概均質ベクトル空間に付随するGauss和の関数等式は行者によって証明されていたが,最近,R.CluckersとA.Herremansによって有限環上に拡張された.彼らの結果を利用して,概均質ベクトル空間のDirichlet型のL関数の関数等式の記述を合成数を法とするDirichlet指標の場合に拡張した(佐藤,"L-functions of prehomogeneous vector spaces",R.Cluckers-A.Herremansの論文のAppendixとして投稿中). ・これまでの研究で実解析的Siegel Eisenstein級数のKoecher-Maassゼータ関数が,ある概均質ベクトル空間のゼータ関数として捉えられることが明らかになっていたが,これを量指標つきのKoecher-Maassゼータ関数の場合に拡張した(佐藤,上野隆彦との共同研究). ・判別式-dの原始的正定値二元二次形式の類数をh(d),単数群の位数をw(d)と記すとき,h(d)/w(d)の漸近評価はGauss以来の古典的研究があるが,本研究では,(h(d)/w(d))^2を係数とするDirichlet級数を考察し2乗の漸近評価を得ることを目指して研究を行った.まず,このDirichlet級数は概均質ベクトル空間(SL(2)×SL(2)×SL(2)×GL(1),M(2)+M(2))の正定値軌道に対応するゼータ関数として捉えられることが示せた.また,不定値二元二次形式の場合にも同様なDirichlet級数を考えることができ,この場合は,同じ概均質ベクトル空間の不定値軌道に対応するゼータ関数として捉えられる.これにより,これらのゼータ関数の解析的性質を概均質ベクトル空間の理論を応用して調べることが可能になった(佐藤).また,重さ3/2の保型形式との関連した考察を行うことにより,正定値の場合にはゼータ関数の関数等式などが概均質ベクトル空間とは独立な方法で得られることも分かった(荒川).
|