研究分担者 |
今吉 洋一 大阪市立大学, 理学部, 教授 (30091656)
足利 正 東北学院大学, 工学部, 教授 (90125203)
福原 真二 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (20011687)
阿原 一志 明治大学, 理工学部, 講師 (80247147)
河澄 響矢 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (30214646)
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研究概要 |
この3年間で,複雑な形の特異ファイバーをより簡単な特異ファイバーに分裂させる問題に大きな進展があった.一つは荒川-足利により,超楕円曲線の族に含まれる特異ファイバーをある少数の簡単な特異ファイバーに分裂させられることが証明されたもので,超楕円的な場合にモース化問題の解決に迫るものである.もう一つは,研究協力者の高村による一般の特異ファイバーを対象とした分裂族の存在に関する研究である.この研究については,東京大学において,月に1回程度のセミナーを約1年半にわたって継続し,大きな理論の骨格が出来上がりつつある.高村は既に1000ページに及ぶプレプリント(Towards the Classification of Atoms of Degenerations I, II, III, IV,...)を執筆し,種数5までの原始ファイバーの決定を成し遂げた. 分裂変形の様子を実験的に観察することも重要な研究方法であるが、これに関しては,阿原により,「星型特異ファイバー」の分裂の様子が動画によって観察できる「スプリティカ」というソフト・ウエアが開発された.今後,理論と実験の相まった進展が期待される. 大域的なモノドロミーに関連して,関数論的な立場から今吉-伊藤-山本による研究がある.また,レフシェツ型の特異ファイバーを持つファイバー空間の大域的モノドロミーの研究に重要と思われる「コードのクアンドル」については,鎌田-松本により代数的表示が研究された.その位相幾何的な副産物として,点抜き平面上の単純曲線によって表せる自由群の元を純代数的に特徴づけることに成功した. 以上は「リーマン面の退化」に直接関わる成果であるが,関連する成果も多く得られた.
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