研究分担者 |
勝田 篤 岡山大学, 理学部, 助教授 (60183779)
田村 英男 岡山大学, 理学部, 教授 (30022734)
清原 一吉 岡山大学, 理学部, 教授 (80153245)
塩谷 隆 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90235507)
加須栄 篤 金沢大学, 理学部, 教授 (40152657)
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研究概要 |
代表者の酒井は,リーマン多様体における種々の計量不変量の間に成り立つ関係,また計量不変量と空間構造の関連をテーマとして研究を続けてきた.上記課題に関する科研費の援助の下で,以下のような具体的な問題設定をして研究を行った. 1.距離関数のモース理論をさらに発展させること:リーマン多様体Mの1点pからの距離関数d_pは微分可能でない点を持つが,モース理論に対応してこの場合も危点の概念を幾何学的に定義することができる.他方,通常の可微分関数のモース理論では危点の指数の概念が重要な役割を果すが,距離関数の場合は危点の指数の概念は明確ではなかった.そこで,点pの切断跡(cut locus)C(p)が扱いやすい非退化性の構造を持つ場合に,切断跡がWhitneyの層化構造を持つことを示し,危点の指数の概念を導入して距離関数のモース理論を展開することを試みた(伊藤仁一との共同研究).ただし,これに関してV.Gerschkovich-H.Rubinsteinによる仕事があることがその後判明し,我々の結果と重なる部分もあってさらに検討する必要がある. また,アレキサンドロフ空間の距離関数に関する計量不変量の挙動と構造定理を,博士課程学生のテーマとして与え,検討をおこなって球面に関連する場合に結果を得た. 2.幾何学的不等式:長年興味を持ってきた,非負の曲率を持つコンパクト・リーマン多様体の体積と直径に関する等径不等式をリーマン多様体の収束理論や極限空間のアレキサンドロフ空間の幾何を用いて解決できないか検討し,曲面の等縮不等式に関して以前の私のアイデアについてM.Katz氏から問い合わせのあった点について考察したが,これらについては決定的な進展はこの期間には得られなかった. 他に,酒井は総合報告"Curvature-Until the twentieth century, and the future?"および「リッチ曲率が下から押さえられた多様体族とその極限」出版準備のための検討をおこなった.なお,他の分担者達の行った研究について,上記課題に特に関連するものとして,清原一吉は楕円面の一点の切断跡の構造を決定した.
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