代数的符号理論,組合せデザイン理論とアソシエーション・スキームの研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12440030
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 宗政 昭弘 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (50219862)
• 研究分担者: 原田 昌晃 山形大学, 理学部, 助教授 (90292408) ; 坂内 悦子 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (00253394) ; 坂内 英一 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (10011652) ; 平木 彰 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (90294181)
• キーワード: 代数的符号理論 / 自己双対符号 / 距離正則グラフ / 有限体 / スピンモデル / 保型形式 / 格子

研究概要

今年度は、自己双対符号と格子の関係について研究した。特に、自己双対な2元符号のうち、Type IIと呼ばれる自己双対符号の概念を標数2の任意の有限体上の符号に拡張し、そのmass formulaを導いた。これをもとに標数2の有限体上のType II符号のうち、2元符号としての長さが32以下となる場合のほとんどについて、分類を完成させた。この成果は研究分担者とともに、オーストラリアのメルボルンで開催された第14回AAECCシンポジウムにおいて発表した。
一方、2元符号についても、長さ40の場合に、extremalでかつ被覆半径が7となるようなものを発見した。代数学のために開発された特殊なソフトウエアを用いて計算することがこの発見につながったわけだが、同時にこれらの計算機実験を積み重ねることでプログラムの効率化が徐々に進み、より大きな問題に取り組めるようになった。このプログラムは本来長さ32の自己双対2元符号の分類のために開発したものであるが、その分類結果については現在投稿準備中である。
また、自己双対符号は、自然に格子に対応することで保型形式を定義する。そのmass formulaの意味するところはまだほとんど研究がされておらず、今年からその研究に取り組んだ。保型形式については特に専門家との交流がこれまでなかったため、2つの研究集会に参加して情報交換に努めた。この結果新たな研究の可能性が広がり、それは来年度以降の研究課題になる。

研究成果

• [文献書誌] Masaaki Harada: "An Extremal Ternary Self-Dual [28, 14, 9] Code with a Trivial Automorphism Group"Discrete Mathematics. 239. 121-125 (2001)
• [文献書誌] T.Aaron Gulliver, Masaaki Harada: "Optimal Double Circulant Z_4-Codes"Lecture Notes in Computer Science. 2227. 122-128 (2001)
• [文献書誌] Masaaki Harada, P.R.J.Os-tergard: "Classification of Extremal Formally Self-Dual Even Codes of Length 22"Graphs and Combinatorics. (印刷中). (2002)
• [文献書誌] Masaaki Harada: "Self-Dual Z_4-Codes and Hadamard Matrices"Discrete Mathematics. (印刷中). (2002)
• [文献書誌] Stefka Bouyuklieva, Masaaki Harada: "On Type IV Self-Dual Codes over Z_4"Discrete Mathematics. (印刷中). (2002)
• [文献書誌] Masaaki Harada: "Extremal Odd Unimodular Lattices in Dimensions 44, 46 and 47"Hokkaido Mathematical Journal. (印刷中). (2002)
• [文献書誌] E.Bannai, M.Koike, A.Munemasa, J.Sekiguchi: "Some Results on Modular Forms"Advanced Studies in Pure Mathematics. 32. 245-254 (2001)
• [文献書誌] Akihiro Munemasa: "A Mass Formula for Type II Codes over Finite Fields of Characteristic Two"The Ohio State University Mathematical Research Institute Monograph Series. (印刷中). (2002)
• [文献書誌] Etsuko Bannai: "Bose-Mesner Algebras Associated with Four-Weight Spin Models"Graphs and Combinatorics. 17. 589-598 (2001)
• [文献書誌] Etsuko Bannai, Mitsuhiro Sawano: "Symmetric Designs Attached to Four-Weight Spin Models"Designs, Codes and Cryptography. 25. 73-90 (2002)
• [文献書誌] Akira Hiraki: "A Distance-Regular Graph with Strongly Closed Subgraphs"J. Algebraic Combinatorics. 14. 127-131 (2001)
• [文献書誌] Akira Hiraki, Jack Koolen: "An Improvement of the Godsil Bound"Annals of Combinatorics. (印刷中).