研究分担者 |
二宮 広和 龍谷大学, 理工学部, 助教授 (90251610)
森田 善久 龍谷大学, 理工学部, 教授 (10192783)
池田 榮雄 富山大学, 理学部, 教授 (60115128)
長山 雅晴 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (20314289)
阪井 一繁 龍谷大学, 理工学部, 助手 (00288664)
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研究概要 |
みかけの活性化エネルギーEは燃焼合成反応における重要なパラメータである.Eが小さいときは定常燃焼波が安定であり,大きくなると振動燃焼波やヘリカル燃焼波が発現する.数理解析の分野ではEを無限大に飛ばした極限において燃焼合成反応の数理モデル方程式系から得られる縮約方程式系が用いられることも多い.このような縮約の妥当性の検討という動機も含め,みかけの活性化エネルギーの燃焼波伝播形態への影響を,「ヘリカル燃焼波の持続機構の解明」に重点をおいて調べた. 無次元化温度 uと合成率ηを夫知関数とする数理モデル方程式系は (1) (∂u)/(∂t)=▽^2u+(1-η)Φ(u),(∂η)/(∂t)=(1-η)Φ(u) のように表現される.燃焼合成反応の発熱項Φ(μ)はuの指数関数であるが,できるだけ単純な劣線形性を利用して研究を推進するという観点から,つぎの2つのものを採用してヘリカル燃焼波の持続機構を調べた(0<a<b<1,0<c<1): (2)Φ(u)=0 (u<a),Φ(u)=(u-1)/(1-a)+1 (a<u<1),Φ(u)=1 (1<u), (3)Φ(u)=0 (u<a),Φ(u)=c (a<u<b),Φ(u)=1 (b<u). (1)-(2)および(1)-(3)の数値シミュレーションを空間1次元および空間2次元で行った結果,現在までにつぎのことがらが判明した: ・空間1次元において定常燃焼波が観測されるようにパラメータを設定すると,空間2次元でも必ず定常燃焼波が観測される. ・空間1次元において振動燃焼波が観測されるようにパラメータを設定すると,空間2次元ではヘリカル燃焼波が現れ,その速度は振動燃焼波より遅い(25%以上の低下もある).ただし,パラメータを厳しく設定すると,空間1次元では伝播が停止するが,空間2次元ではヘリカル燃焼という形態によって燃焼伝播が持続するようになる.
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