研究分担者 |
瀬川 重男 大同工業大学, 教養部, 教授 (80105634)
加藤 崇雄 山口大学, 理学部, 教授 (10016157)
柴 雅和 広島大学, 工学部, 教授 (70025469)
柳原 宏 山口大学, 工学部, 助教授 (30200538)
鈴木 紀明 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (50154563)
|
研究概要 |
閉リーマン面のホモロジー類の極値的長さの間には,ある代数的関係式が成立することを既に示していたが,調和微分の空間に作用する共役作用素に着目することにより,より原始的な代数関係式の成り立つことを見いだし,既存の結果の見通しの良い別証明を得ることに成功した。さらに,この原始的代数関係式は,種数2の閉リーマン面が持つある対称性を表していることを,新たに発見した。次に,自己等角写像からなる真性不連続群が作用するリーマン面において,単連結部分領域からなるある族に擬順序を導入し,この擬順序集合は必ず唯一の最大元を持つことを証明した。この擬順序はポアンカレ計量を用いて定義されるものであり,最大元を求める極値問題は,思想的に,リーマンの写像定理と通ずるものを有する。こうして得られた最大元は,その不連続群の局所有限な基本領域をなし,ディリクレ領域やフォード領域といった既存の基本領域とは異なるものであることを示した。すなわち,基本領域の新たな構成法を得たのである。 加藤は,位数2の自己同型写像を持たないgonalityが偶数の代数曲線において,その上の次数d,次元rの特殊因子からなるヤコビ多様体の部分多様体の次元が最大値(d-3r)に近い場合の曲線の特徴づけを行った。鈴木は,熱方程式に代表される放物型作用素の解のポテンシャル論的解析を行い,とくに,平均値の性質により定まる領域の決定および平均値の性質を満たす密度関数の存在について考察した。瀬川は,リーマン球面から原点をのぞいた領域の2つの2葉非有界被覆面が擬等角同値ならば,それらのミニマルなマルチン境界点の個数が同じであることを示した。さらに,木内は,リーマンのゼータ関数の近似関数方程式に対する平均値公式を考察し、松野は、非局所的非線形シュレーディンガー方程式における暗いソリトンの発生について調べた。
|