研究概要 |
1.N次元ユークリッド空間の領域Ωにおいて、正定数を初期値とした熱方程式の初期斉次Dirichlet問題を考える。Ωの部分領域Dで内部円錐条件およびD^^-⊂Ωを満たすものを考える。このとき、解の一つの等温面∂Dが時刻について不変であるときどのようなことが起こっているかという問題について、次の2つの定理を得た。(i)Ωが外部球面条件を満たす有界領域または外部領域の場合、もし∂Dが不変な等温面ならば、∂Ωは一つの球面に限る。(ii)Ωを一様な外部球面条件を満たす非有界領域とする。また、空でない∂Ωの部分開集合でΩの外向き法線方向についての主曲率がすべて非負なものが存在し、さらに∂Ωは任意の半径の(N-1)次元球上のグラフをその一部に含むとする。このとき、もし∂Dが不変な等温面ならば、∂Ωは1つの超平面か2つの平行な超平面のどちらかに限る。 2.熱方程式の解のホットスポットに関して、ChamberlandとSiegel(1997)の予想がある。ユークリッド空間の原点を含む有界領域Ωにおいて初期斉次Dirichlet問題を考え、初期値として正定数を与えるとき、その予想は、『もし原点が常にホットスポットならば、領域Ωは、直交群のあるessentialな部分群Gの作用について不変である。』というものである。この予想について、空間次元が2のとき、次の4つの定理を得た。(i)Ωを三角形とするとき、もし原点が常にホットスポットならば、Ωは原点を中心とする正三角形に限る。(ii)Ωを凸四角形とするとき、もし原点が常にホットスポットならば、Ωは原点を中心とする平行四辺形に限る。(iii)もし原点が常にホットスポットならば、Ωは凹四角形ではない。(iv)Ωを凸m多角形(m=5,6)で、原点を中心とした内接円がすべての辺に接すると仮定する。このとき、もし原点が常にホットスポットならば、m=5のときΩは正五角形に限り、m=6のときΩは角度π/3,(2π)/3,πのどれかの回転対称性をもつ。
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