研究分担者 |
石井 仁司 早稲田大学, 教育学部, 教授 (70102887)
田中 和永 早稲田大学, 理工学部, 教授 (20188288)
山田 義雄 早稲田大学, 理工学部, 教授 (20111825)
坂口 茂 愛媛大学, 理学部, 教授 (50215620)
林 仲夫 大阪大学, 理学研究科, 教授 (30173016)
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研究概要 |
計画調書の研究目的にかかげた目標に関する幾つかの興味ある成果が得られた.以下にその主なものを挙げる. (I)楕円型方程式 (i)-Δ(|Δu|^<p-2>Δu)=|u|^<q-2>u x∈Ω,u(x)=Δu=0x∈∂Ωの非自明解がp=2(m+1)/(2m+1),m∈IN, q=2k,k∈INの時かつこの時に限ってΩ^^-上で解析的になることが示された.(さらに空間次元Nが1であるときには,収束半径がΩ^^-で一様にとれる。)2階の方程式-div(|▽u|^<p-2>▽u)=|u|^<q-2>uに対しては,既に同様の結果が空間1次元の場合に対してのみ知られているが,4階の場合の方が事情がより簡単である点が興味深い. (ii)-div(|▽u|^<p-2>▽u)=|u|^<q-2>u, x∈B^c={x∈IR^N;‖x‖>R}, u(x)=Δu=0 x∈∂β^cが少なくとも一つの正値解を有することは,我々の研究で既に示されていたが,今回Ljusternik-Schnirelman理論と組合せることによって,「少なくとも可算無限個の非自明解を許す」ことが示された.これは,ある種の変換を介してこの問題が帰着される,円環領域における境界上に特異性を有する楕円型方程式を解析することによってなされるが,この際Palas-Smale条件などの検証が境界上の特異性のために困難であった.この点を克服した点に意義がある. (II)放物型方程式 (i)劣微分によって支配される回帰的Banach空間Xにおける発展方程式du(t)/dt+∂ψ(u(t))-∂ψ(u(t))∋f(t)に対する初期値問題の可解性,正則性が示された.この枠組は,Galerkin法による弱解の従来の構成法よりも,より良い正則性を持つ解が自然に構成されるという利点を有する.またOtaniによるHilbert空間における劣微分作用素に対する非単調摂動理論をBanach空間へ拡張する際の第一歩としての意味からも意義がある. (ii)上記の発展方程式に対して,Banach空間L^p(0,T;X)上で定義される汎関数J(u)=∂ψ(u(t))-∂ψ(u(t))-du(t)/dt-f(t)に対する"Principle of Symmetric Criticality"が示された.即ち,(a)Gの作用がXで等距離的であり,かつ(b)X及びその双対空間X^*がともに回帰的かつ狭義凸である,が成り立てば,「symmetryを表現する群Gの作用に関して不変な部分空間L^P_G(0,T;X)上でのJの臨界点がL^P(0,T;X)全体での臨界点を与える」ことが示された.これは,楕円型方程式に対してのみ適用可能であったPalaisによる古典的な"Principle of Symmetric Criticalilty"の拡張を与えており,その応用範囲がさらに多くの発展方程式に広がることが期待される. (iii)内部構造として,回転磁場を有する非圧縮性流体の流速,回転,磁場温度が満たすmicro-polar fluid方程式に対する初期値境界値問題の解の存在、正則性及び一意性が,OtaniによるHilbert空間における劣微分作用素に対する非単調摂動理論を応用することによって示された.これにより,劣微分作用素に対する非単調摂動論の有用性が再確認された.
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