研究課題
基盤研究(B)
本研究の最終的な目的は、(1)高赤方偏移クェーサーのFe II/Mg II輝線比を測定することにより、宇宙の幾何パラメータを決定すること、および(2)遠赤外線源の同定作業を通して銀河の進化を研究することである。その前段階として、高赤方偏移クェーサーの探索(Fe II/Mg II輝線比を測定するため)およびCCD撮像データの集積(遠赤外線源を同定するため)を行う必要がある。それを実現する手段が南天CCDサーベイである。本研究では、南天CCDサーベイ実施のための環境を整備するとともに、クェーサー放射の理論モデルの構築、ISO遠赤外線源の同定作業、天文観測の世界最適地の調査などを行った。本研究の成果は次の通りである。1.南天CCDカメラの制御回路を改良し、ファーストエンジニアリングライトを入れることに成功した。2002年2月にソフトの改良を行い、3月から科学データの取得を開始する。2.上記カメラの立ち上がりの遅れを補うために、すばる望遠鏡や米国の望遠鏡を用いて、遠赤外線源のCCD撮像および分光観測を実施した。これまでに、100個の遠赤外線源の分光観測を実施し、30個についてはデータ解析が終了した。30個のうちの1/3は大光度の赤外線銀河で、ほとんどは相互作用銀河であることが判明した。3.クェーサーのスペクトルからFe/Mg元素組成比を導くには、広輝線領域における鉄の放射輸送の精密なモデルが必要である。そのために、CUA/NASAのVerner博士を招聘し、上記モデルの精密化を行った。これに必要な低赤方偏移クェーサーの高品質スペクトルは、昨年度米国キットピーク天文台で取得したものを使用した。4.天文観測の世界最適地を調査した。南米チリ北部における気象衛星データを過去10年にわたり解析し、アタカマ地方が最適地という結果を得た。天文気象監視装置を製作し、当該地(標高5000m)に設置し、天文気象の監視を始めた。
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