研究課題/領域番号 |
12440053
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
面高 俊宏 鹿児島大学, 理学部, 教授 (50129285)
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研究分担者 |
宮地 竹史 国立天文台, 野辺山宇宙電波観測所, 助教授 (10182023)
近藤 哲郎 総務省通信総合研究所, 鹿島宇宙通信センター, 室長
笹尾 哲夫 国立天文台, 地球回転研究系, 教授 (20000177)
廣田 朋也 鹿児島大学, 理学部, 助手 (10325764)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 相対VLBI法 / 高精度天体位置計測 / 参照電波源 / ベラ計画 / 一酸化珪素メーザー源 / 冷却ヘムト受信機 |
研究概要 |
VERAは高精度位置計測による銀河系の構造と力学の解明に重点を置く新構想のVLBI観測網である。2ビームアンテナシステムであるので、銀河系内のメーザー天体と系外の参照電波源を同時に観測して位置計測の大敵である大気の揺らぎの影響を除去できる。しかし、VERAが銀河系の全メーザー源の年周視差を求めるためには10μas台の高精度絶対位置計測が必要となる。この精度を達成するには目標天体と参照電波源がお互いに2°以内に存在しなければならない。目標天体の水メーザー源、SiOメーザー源は銀河面内に集中しており、銀河面内に数多くの参照VLBI電波源を見つけなければならない。しかしながらこれまで銀河面の43GHzVLBI電波源のサーベイは皆無である。 我々は、この参照電波源探査のために、郵政省通信総合研究所鹿島宇宙センター内にある43mアンテナに冷却43GHz受信機を搭載し、銀河面内の低周波の電波源カタログに掲載されたソースをNRO45m鏡、VERAとVLBI観測し、VERAで観測可能なVLBI電波源のデータベース作りを目指す。 このため大学院生たちと小型の冷却デュワーの設計、製作を行いHEMT受信機の冷却に成功し、更に、本研究費で購入した局部発信機を含む回路作りを行い34m鏡に搭載した。43GHz受信機の性能は大気込みで300Kとなり、初期の性能目標は達成された。しかし、天体追尾中にアンテナをEL方向に倒していくと強度が著しく減少していく現象が起こった。これまでの22GHz以下の周波数帯では無視してきたが、43GHzになると34m鏡のビームが細くなるため、副鏡の垂れによるポインチングずれがもろに効いてくる為である。この問題は昔から指摘されており4年前メーカーが副鏡の駆動機構に取り掛かったが成功せず、放置されてきた。 当研究室のM2の森崎君がこの難問に果敢に取り組み、通総研のスタッフと協力して、完全ではないがアクチブな副鏡の制御に成功した。昨年3月からポインチング観測に取り掛かり、6月からはSiOメーザー源サーベイ観測に取り掛かっている。VLBI試験観測については昨年VERA鹿児島局と行ったが成功せず、再度昨年12月に再観測を行い、見事にフリンジが検出された。しかし、VERA鹿児島局が非常に弱く受かっており、現在調査中で、この問題が解決したらVERA局と鹿島局とで電波源サーベイを進めていく予定である。VERAの43GHz受信機感度は非常に悪く、上記の電波源サーベイのためには鹿島局の存在が極めて重要になっており、この科研費で進めた計画がVERAプロジェクト成功への重要なキーになってきていることを指摘したい。
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