研究概要 |
本研究では、紫外から遠赤外領域にかけての良質なシリケイトなどの物質の光学的性質を求めることである。昨年度整備した分光計で今年度は次に挙げるように広い波長領域での光学特性を測定した:(1)バルクの反射率(forsterite, olivine, fayalite, enstatite, spinel等)(2)微粒子の透過率(Mg/Fe比の異なるolivine とpyroxene, 組成の異る炭酸塩鉱物など)。(1)については、精度良い測定を行いそのデータを基に分散公式から光学定数n, kをもとめた。Spinel, fayalite, enstatiteについては公表の段階になった。(2)のolivine、 pyroxeneについては、Feが増えればピーク波長が系統的に長波長側にずれることをあきらかにした。また、forsterite, pyroxeneの微粒子をヘリウム温度に冷却したときの遠赤外のスペクトルについて、ピークの位置が短波長側にずれること、ピークがシャープになることをあきらかにした。これらの結果については、公表して、すでに国際的にも高い評価を得ている。星間・惑星間塵などの温度依存だけでなく、宇宙線の影馨を明らかにするために、中性子やガンマー線を照射してスペクトルの影響を調べた。その結果、forsteritei, enstatite, carbonatesなどについて可視から近赤外での発光の存在を確認して、発光の測定のデータと観測との比較ができた。 今年度は温度による影響を詳しく定量化するために、現在の分光計にとりつけて測定できるような低温装置を検討して、冷凍機つきのクライオスタットを整備した。次年度からはいろいろな物質を室温から10Kまでの温度変化をさせて冷却させたときの吸収係数の変化をあきらかにできる予定である。
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