研究概要 |
分光形の設置および整備、さらに冷凍機つきのクライオスタットの設置および整備に続いて、今年度は検出器つきのクライオスタットをヘリウム温度まで冷やして100ミクロンから500ミクロンくらいまでの波長領域の測定を可能にできるよう整備した。 一方では、これまでの仕事のまとめの年度として論文の総仕上げを目指した。これまでいろいろな鉱物(forsterite, olivine, fayalite, enstatite, spinel,炭酸塩など)のバルクの反射率や微粒子の吸収について国際会議、学会、研究会などで発表してきた仕事のなかで、fayaliteの光学定数については論文として公表した。さらに、pyroxene, olivineについてはMg/Feの組成比によりピークが系統的にどのように変化するかを論文として公表した。これらの仕事については世界的に高い評価を得ているし、スバルなどの観測の同定に非常に貢献している。 また、環境によりスペクトルがどのように変化するか、すなわち、温度や宇宙線の照射により星周・星間塵などのスペクトルの変化についても公表できた。すなわち、中性子やガンマー線の照射の後、熱ルミネッセンスを測定し、可視から近赤外でのスペクトルがEREの観測とよく似ており、侯補物質としてforsterite, fused quartzなどをあげることができた。 温度による変化については、SiO2微粒子について室温から10Kまで変化させたときの赤外スペクトル変化について国際会議で報告した。forsterite, olivine, enstatite, fayaliteなどの星周・星間塵の侯補物質については温度変化の様子をさらに詳しく測定しつつあり、国際会議や学会などで公表の予定である。
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