研究課題/領域番号 |
12440065
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下田 正 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70135656)
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研究分担者 |
宮武 宇也 高エネルギー加速器研究機構, 助教授 (50190799)
清水 俊 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60294146)
出水 秀明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50294153)
福田 共和 高エネルギー加速器研究機構, 助教授 (50116092)
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キーワード | 不安定核 / スピン偏極 / β遅発中性子崩壊 / 励起準位 / 傾斜薄膜法 / 偏極電子移行反応 / レーザ光ポンピング / 11Be |
研究概要 |
スピン偏極した不安定核ビームは核構造の研究に様々な進展をもたらす。例えば、核の電磁気モーメントは原子核の基底状態の波動関数を求める上で重要な物理量である。それに加えて、われわれは新たな実験法を考案し、その有効性を実証してきた。それは、偏極核のβ遅発中性子崩壊を観測することによって、娘核の励起状態のスピン・パリティを決定できるというものである。近年、安定領域から遠く離れた不安定核を大量に生成しビームとして供給する、不安定核ビーム施設が稼働しつつあり、われわれの方法を用いることによって、特異な核構造を持つとされている不安定核の系統的な研究が可能となる。本研究は、不安定核のスピンを偏極させる方法を開発し、われわれの方法を、特異な構造が話題になっている中性子過剰核11Beの核分光研究に適用することを目標としている。 スピン偏極法として、任意の原子核に適用可能な二種類の方法の開発を行った。一つは(1)不安定核ビームを傾斜した薄膜に透過させる方法、もう一つは(2)スピン偏極した電子を不安定核ビームイオンに捕獲させる方法である。不安定核ビーム施設から供給される極低エネルギーのビームにこれらの方法を適用した例はなく、様々な未知の問題が予測された。そこで、これらの方法を研究するための実験装置を建設し、安定核13C,14N,15Nビームを用いたテストを行った。いずれの方法でも2-4%の核偏極を得ることに成功した。これによって上記の核分光実験が可能となった。この成功を受けて、不安定核ビーム施設TRIUMF(カナダ)で得られる11Liビームをスピン偏極させ、核分光実験を行うべく、実験提案を行った。国際的なメンバーからなる実験評価委員会で高い評価を得ることが出来、TRIUMFが平成13年度中にビームラインを建設することになった。13年度の後半に実験を行う予定である。
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