研究課題/領域番号 |
12440066
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
杉立 徹 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80144806)
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研究分担者 |
浜垣 秀樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90114610)
本間 謙輔 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40304399)
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キーワード | 時空発展 / 量子干渉効果 / PHENIX実験 / ハドロン物質 / 高エネルギー重イオン衝突 / 鉛タングステン結晶 / 光子検出器 |
研究概要 |
平成12年6月〜9月、高エネルギー重イオン衝突型加速器(RHIC)による初めての金原子核衝突をPHENIX実験装置により測定し、約500万事象の物理データを収集することに成功した。本学グループが責任分担するビームビーム検出器は、当初の期待に応え、飛行時間差測定において50ピコ秒の高時間分解能を達成することに成功し、本研究の要となるハドロン粒子識別に重要な役割を果たした。 ハドロン粒子による量子干渉効果の解析を本学及び国内解析センターに於いて実施した。本年度の解析に於いては、事象統計が不十分であることを勘案し、広立体角を有す電磁カロリメータを使った粒子識別方法に焦点を当てた。正および負電荷のパイ中間子およびK中間子の粒子生成源について、1次元および3次元空間での量子干渉効果の解析結果を得た。その結果、粒子生成源の空間発展は約5フェムトm程度であることが新たな知見として得られた。最終的な結論には至っていないが、初見として、従来から予想されてきた「大きなハドロン粒子源への発達」は見られず、むしろ、私たちがCERN-SPS加速器のエネルギー領域で測定してきたと同様な時空発展の様相が初めて明らかにされた。 光子や中性パイ中間子による粒子源の時空発展を探るため、光子検出器の開発を進めた。素材として、現在世界的に注目を集めている鉛タングステン結晶(PWO)を制作した。基本特性を調べるテストベンチを本学に構築中である。一方、最新の計算ライブラリー(GEANT4)を利用するシミュレーションコードを開発し、今回制作した2x2x20cmの結晶を使った検出器の期待されるエネルギー分解能の検討を行った。その結果、1GeVの電磁粒子入射にたいし、約1.6%のエネルギー分解能が得られることが判明した。
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