研究課題/領域番号 |
12440066
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
杉立 徹 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80144806)
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研究分担者 |
浜垣 秀樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (90114610)
本間 謙輔 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40304399)
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キーワード | 高エネルギー重イオン衝突 / ハドロン物質 / 時空発展 / PHENIX実験 / 量子干渉効果 / タングステン酸鉛結晶 / 光子検出器 / PWO結晶 |
研究概要 |
平成13年7月から14年1月の7ヶ月間にわたり、米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)高エネルギー衝突型重イオン加速器(RHIC)を使ったフェニックス実験を実施した。RHICは最高衝突エネルギーの核子対あたり200GeV/cに到達し、約1億事象の金+金原子核同士の衝突事象を記録した。この豊富な収集データからハドロン粒子の量子干渉効果を引き出す解析をスタートさせた。広立体角を覆う電磁カロリメータ検出器を飛行時間差検出器として使う従来の解析に加え、時間分解能に優れたTOF検出器を粒子識別に使う解析も同時に進めた。両者は良い一致を示し、3次元空間における粒子放出源のサイズ、および運動量依存性の導出にも成功した。本年7月に開催される当該研究分野の重要な国際会議(クオークマター2002)で成果公表をすべき、解析の精度を高める努力を継続中である。 次世代の高性能電磁カロリメータを開発するために、古河機械金属(株)素材総合研究所で試作したタングステン酸鉛結晶について光学特性と蛍光特性の基礎データを測定した。蛍光発光量は約6光電子/MeVであること、蛍光減衰時間特性は2成分からなり、早い成分の寿命は約1.5ナノ秒(20%)、遅い成分は約6ナノ秒(80%)であることを見出した。さらに、広島大学VBL-REFER電子ビームとKEK-PS加速器ビームを使った性能評価実験から、高エネルギー電子が入射したとき、一本の結晶(2×2×20cm^3)は約75%のエネルギーを閉じ込めることを見出した。これらの基礎パラメータを入力したシミュレーション計算から、本結晶により電磁カロリメータを構成したとき、エネルギー分解能σはσ/E=1.8%/【square root】Eとなることが判明し、今日実用に供されている同種の検出器に比較して格段に高い性能を発揮することを結論づけた。
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