研究課題
基盤研究(B)
本研究で提案した元素選択型イオン源システムは、レーザーによる共鳴イオン化とアブレーションレーザーによる高効率レーザーイオン源、および取り出された単一元素の一価イオンをオンラインで多価のイオンに変換するチャージブリーダーイオン源の組み合わせからなるシステムである。以下、各要素ごとの研究成果をまとめる。1)共鳴イオン化法による短寿命核^<25>Alの質量分離エキシマレーザーとダイレーザーを組みあわせて、^<16>Oビームと^<12>C標的との核反応により生成した^<25>Al(T_<1/2>=7.2sec)の選択的イオン化と、質量分離にはじめて成功した。イオン化効率は約0.1%であった。2)レーザーアブレーション機構の解明アブレーションプルーム中のネオジムの速度分布を、レーザー誘起蛍光法で測定した。実験には、YAGレーザーを用いた。測定の結果、アルゴン0.7Torr雰囲気でアブレーションした場合、真空の場合に較べて中性原子で約二桁、イオンで約一桁平均速度が遅くなることがわかった。この差を利用して両者を分離できる可能性がある。また、アブレーションで放出された粒子のターゲットからの距離による速度分布を調べ、近距離(<20mm)では、ターゲットから離れとともに速度が速くなることがわかった。3)チャージブリーダーイオン源(実機)の製作チャージブリーダーイオン源テストベンチでの試験およびECRプラズマ中でのイオンの運動のシミュレーションの結果をもとに、1価イオンのECRプラズマゾーンへの減速入射系を新たに設計し、実機の製作を行った。この装置は、現在移設作業が進行中の原研東海研タンデム施設の短寿命核装置に組み込まれ、今後重い短寿命核ビームの実験に利用されることになるであろう。実機の主要諸元は、印可高周波:18GHz,1.3kW、常伝導ソレノイド磁石:最大1.5T、ソレノイド型補正磁石:0.4T 6 極永久磁石:最大1.3T、最大プラズマ領域:〜300mm x 75mm^φである。
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