研究課題
本研究の目的を簡略に述べると、(1)世界に先駆けて開始されたK2K長基線ニュートリノ振動実験を進め、その結果を国際的に発信すること;(2)長基線ニュートリノ振動実験に関する調査及び情報交換;(3)ニュートリノファクトリーに関する調査検討である。(1)については、平成12年度においてK2K実験は予定通り着々とデータを蓄積し、中村が平成12年6月にカナダのSudburyで行われたニュートリノ2000国際会議、作田が平成12年7月に大阪で行われた高エネルギー物理学国際会議、石田が平成12年5月にカナダで行われた素粒子・原子核境界領域に関する国際会議でそれぞれK2K実験の途中結果を発表したのを始め、この他数カ所の国際会議でも発表し、世界の注目を集めた。(2)については、中村、小林、早戸が米国、カナダ、韓国で国際会議に出席し、情報交換を行い、それらの情報に基づいて、建設が認められた日本の大強度陽子加速器を用いる長基線ニュートリノ振動実験計画を、作田、その他の協力者とともに、立案を進めている。(3)については、森、久野、中村が米国で開催された第2回ニュートリノファクトリーワークショップに参加して調査を行い、米国とヨーロッパの計画を進めている研究者と情報交換を行った。その結果、平成13年5月に第3回のワークショップを日本で開催することとなった。また、森と久野は日本のニュートリノファクトリー構想としてFFAG加速器を用いるユニークな方式を立案して欧米の研究者から注目を集めるとともに、FFAGの開発研究を進めた。平成12年度は、当初の研究目標を十分に達成することができた。
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