研究課題
基盤研究(B)
この研究では、(1)世界に先駆けて開始されたつくば・神岡間250kmのK2K長基線ニユートリノ振動実験、(2)東海村に建設中のJHF(大強度陽子加速器)を用いる次期長基線ニュートリノ振動実験の検討・立案、(3)将来の強力なニュートリノ源として有力視されているニュートリノファクトリーに関して、我が国での実現方策の調査検討を行った。(1)については、最終的な目標(10^<20>個の陽子をニュートリノ生成標的に照射)の約半分のデータを既に発表した。その結果は、スーパーカミオカンデが大気ニュートリノの観測で得たν_μ→ν_τ、振動と良く一致し、単なる統計的変動でこのように見える確率は1%以下である。今後、平成16年度末までに実験の最終的目標に到達する予定である。(2)については、JHF大強度陽子加速器を用いる、東海から神岡への距離295kmの次期ニュートリノ振動実験計画の検討・立案を行い、国際共同実験チーム(12ヶ国から150名)からのLetter of Intentとして提出した。このLOIは、JHFでの初期の実験提案を審査する委員会で既に審査され、物理の意義が高く評価され、早期推進の勧告を得ている。(3)については、日本独自のニュートリノファクトリー構想として、FFAG(Fixed-Field Alternating Gradient)加速器とミューオン蓄積リングに基づく方式を提案し、世界の注目を集めた。この方式の詳細な検討報告書を発表するとともに、現在150MeVのFFAGの開発研究が進められている。将来JHFの大強度陽子加速器をミューオン源としてこの構想を実現するべく、上記委員会にLOIを提出した。
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