平成14年度は、本研究の最終年度にあたるため、CCD検出器の位置分解能向上を中心に開発研究を行なった。CCDでX線を検出する際に、その位置分解能を決める要因としては、(1)ピクセルサイズ、(2)ノイズ、(3)データ処理アルゴリズム、などがある。このうち、(1)のピクセルサイズについては、小さいピクセルのCCDを使えば良いだけのことなので、(2)と(3)を中心に研究を行なった。 X線の入射位置は、基本的には数ピクセルに広がった電荷分布の重心から求められるので、電荷量の測定値に誤差がのると、それが重心決定の精度に影響する。そこで、駆動波形のノイズとアナログ回路系のノイズの両方について低減を計った。駆動波形については、波形パターンとサンプリングのタイミングを調整してノイズの小さいタイミングで計測するようにし、また、アナログ回路計については、低ノイズアンプを新たに製作し、アクティブフィルターで周波数帯域を最適化するなどして、総合的に低ノイズを実現した。一方、データ処理アルゴリズムでは、CCD内での電子雲の広がりをモデル化してフィッティングすることで、X線入射位置の決定精度の向上を図った。 これらの開発により、現状でピクセルサイズの数分の1、さらにノイズ低減などに努めることで、ピクセルサイズの1/10程度の位置分解能を達成する目処を付けることができた。現在、X線検出に使えるCCDとしては、ピクセルサイズ10μmを切るものが出ており、これら小ピクセルのCCDを用いれば、1μmを切る位置分解能が達成できることになる。
|