研究概要 |
ハロゲン化鉛2-3次元結晶(RNH_3)_2PbX_4,(RNH_3)_2(CH_3NH_3)Pb_2X_7,(RNH_3)_2(CH_3NH_3)_2Pb_3X_<10>, (CH_3NH_3)PbX_3(X=Br, I)について電場変調分光と磁気光吸収測定をおこなうとともに,1次元結晶[CH_3CS(=NH_2)NH_2]_3PbI_5の基礎光学測定をおこなった。また,バンド計算と群論に基づいた励起子・励起子分子の準位の帰属をおこなった。 1.2-3次元結晶 2次元結晶(C_6H_<13>NH_3)_2PbI_4の最低励起子がほぼ理想に近い2次元ワニア励起子であることを初めて実験的に証明した。また,その束縛エネルギーはいわゆる誘電率閉じ込め効果によって増強されていることも同時に示した。2-3次元結晶においては,サイズ依存性を系統的かつ定量的に調べ,空間的閉じ込めと誘電率閉じ込めが有効に作用していることを明らかにした。さらに,巨大振動子を有する励起子の下に偏光選択則の異なる励起子と光学禁制な三重項励起子が存在すること,これらが励起子分子の緩和に影響を与えていることも見出した。 2.1次元結晶 点共有1次元結晶[CH_3CS(=NH_2)NH_2]_3PbI_5の光学スペクトルを測定し,きわめて1次元性の強い励起子が存在することを示すとともに,偏光選択則を含めほぼすべての準位の帰属を明らかにした。また,励起子の電子正孔間の交換積分の大きさが70meVときわめて大きく,これも系の1次元性を強く反映しているものと考えられる。また,バンド計算の結果と比較することによって,格子の歪みがバンドギャップの大きさに影響を与えていることも示せた。
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